
長期投資でリスクが下がるって聞いたけど本当なの?
こんなお悩みにお答えします。
☑️本記事の内容
- 長期投資でリスクが上がるか?下がるか?過去の相場で検証
- 長期投資でリスクを小さくする方法を解説
☑️本記事の執筆者

投資歴15年超のサラリーマン投資家です。
私のブログでは投資初心者・中級者の方々に向けて基礎知識を短期間で身に付けられるよう分かりやすくまとめてます。ぜひご覧ください!
投資のセオリーとして「リスクを小さくするために長期で投資をしましょう」と言うのがあります。
投資をしている方であれば一度は耳にしたフレーズではないでしょうか?
私もこのセオリー通りに積立投資をコツコツと行っているわけですが、だんだんと投資金額が大きくなり、相場のアップダウンに合わせて資産評価額が大きく上下するのを見てると、「本当に長期投資でリスクが下がってんの?」と疑問に思うことも多くなりました。
そこで今回の記事では、S&P500の過去の相場を使って長期投資でリスクが下がるのか?それとも上がるのか?を検証してみたいと思います。
そしてその結果から、長期投資でリスクをコントロールする方法を解説します。

いざ暴落相場に突入し「こんなはずじゃなかった!」とならないよう、じっくりと読んでみてください。
長期投資でリスクが下がる?上がる?過去の相場で検証
シミュレーションの条件
まずはじめにシミュレーションの条件を簡単に解説します。
シミュレーションには、アメリカの代表的な指標であるS&P500の1970年〜2020年の50年間を使用します。
1970年以降のS&P500の値動きは次のグラフの通りでした。
グレーの帯は1970年以降にS&P500が経験した数々の暴落局面です。
さまざまな暴落がありながらも今日までS&P500は力強く上昇してきたのが分かります。
このチャートデータを用いて、毎月10,000円ずつ(1ドル=100円で固定と仮定)、S&P500に積立投資したと仮定します。
シミュレーションした投資期間は3年・5年・10年・15年・20年です。
1970年〜2020年までの期間において、投資開始時期を1ヶ月ずつずらした場合の投資パフォーマンスを全ての投資期間において計算し検証しました。
例えば投資期間10年であれば、
- 1970年1月〜1979年12月
- 1970年2月〜1980年1月
- ・・・
- 2010年3月〜2020年2月
- 2010年4月〜2020年3月
と1ヶ月ずつ投資タイミングをずらして全パターンで検証しました。
年間の利益率で見た場合のリスク
まずシミュレーションした結果を年利(年間の利益率)で表示します。
投資期間 | 3年 | 5年 | 10年 | 15年 | 20年 |
最大年利 | 16.2% | 13.8% | 10.6% | 9.2% | 8.9% |
最小年利 | -16.6% | -9.8% | -4.7% | −1.7% | 0.3% |
平均年利 | 4.1% | 4.4% | 4.8% | 4.9% | 5.0% |
- 最大年利…投資期間毎の成績の最大利益(MAX(利益額/投資元本))の年間利率
- 最小年利…投資期間毎の成績の最小利益(MIN(利益額/投資元本))の年間利率
- 平均年利…投資期間毎の成績の平均利益(AVERAGE(評価額/投資元本))の年間利率

結果は全て投資期間終了時点を使用しています。
この結果をグラフにすると以下のようになります。
このグラフから投資年数が経つにつれて年利の振れ幅がだんだんと小さくなり、長期投資によってリスクが小さくなることを表しています。
このようなグラフは投資の本などにも出てくるので見たことがある方もいるかと思います。

この結果を見る限り「やっぱり長期投資でリスクは下がる」という結論になりますね。
資産の変動率で見た場合のリスク
続いてシミュレーションした結果を投資期間終了時点での資産の増加率で見てみます。
投資期間 | 3年 | 5年 | 10年 | 15年 | 20年 |
最大利益 | 57% | 91% | 173% | 276% | 455% |
最小利益 | -42% | -40% | -38% | −23% | 6% |
平均利益 | 13% | 24% | 59% | 106% | 168% |
- 最大利益…投資期間毎の成績の最大利益(MAX(利益額/投資元本))
- 最小利益…投資期間毎の成績の最小利益(MIN(利益額/投資元本))
- 平均利益…投資期間毎の成績の平均利益(AVERAGE(評価額/投資元本))
この結果を先ほどと同じくグラフ化して見てみましょう。
この結果からは先程の年率が投資期間が長くなればなるほど収束していったのに対して、年数が経つほど利益率に開きが出てきています。
つまり資産の変動率と言う観点から投資結果を見た場合、長期投資であればあるほどリスクは大きくなっていくと言えます。
長期投資でリスクは上がる?下がる?
ここまでの結果を見てわかるように、
- 長期投資でリスクが上がる
- 長期投資でリスクが下がる
この二つは同じ相場の同じ条件でシミュレーションした結果なのでどっちも正しいと言えます。
ただ年利で見るのか、変動率で見るのかという違いだけです。
でも私が実際に資産運用していて感じるのは「長期投資によってリスクが上がる」という方です。
なぜならコツコツとドルコスト平均法で長期間積立投資をしたとしても最終的に相場が暴落してしまえば、その影響をもろに受けるためです。
例えば投資資産100万円と1000万円では50%暴落した場合には、
- 投資資産100万円の場合・・・50万円下落
- 投資資産1000万円の場合・・・500万円下落
となり、長期投資でたくさん資産を積み上げた方が下落幅が大きくなり「長期投資によってリスクが上がった」と考えた方が直感的に合っている気がします。
長期投資でリスクをコントロールする方法
ここまでで書いたように私は「長期投資でリスクが上がる」と考えています。
ではどうすればいいのか?
私の場合は✅ポートフォリオの作り方3ステップ【リスクを抑えて世界中の豊かさの恩恵を受ける方法】 に解説しているように、歳を取るにつれてポートフォリオに占める債券(または現金)比率を徐々に上げていくと言う戦略をとっています。
具体的には「(年齢−20)分債券比率を上げていく方法」です。
- 30代・・・株式90%:債券10%
- 40代・・・株式80%:債券20%
- 50代・・・株式70%:債券30%
一般的に債券比率を大きくするとポートフォリオ全体の変動率は小さくなり、利益率は悪くなります。
例えば債券を30%ポートフォリオに入れた場合、変動率と利益率がどれぐらい変わるのかを見てみます。
このグラフの赤丸で囲った部分のように債券を含んだポートフォリオ(緑色)の方が暴落時の下落幅が小さいのが分かります。
このグラフでは暴落時にリバランスを行っていませんが、リバランスをするともっと成績はよくなります。

債券を含むと成績は下がりますが、思ったよりも下がらないと言う印象では無いでしょうか?
「(年齢−20)分の債券比率」というのは、ポートフォリオに入れる債券比率としては結構少ない方です。この辺りは自分の資産の状況やリスクをどれぐらいとれるかにかかってくるので、自分でシミュレーションしたり実際に投資して調整していくといいと思います。
まとめ
長期投資によってリスクは下がるのか?上がるのか?という点について実際にシミュレーションを行い検証しました。
結論としては、
- 年利でみた場合はリスクは下がる
- 変動率でみた場合はリスクは上がる
という見方によって両方正しいと言えます。
しかし実際に資産運用をしている視点で見ると、資産総額が大きくなるにつれてリスクは明らかに上がっているように見えます。
実際にコロナショックで30%〜40%も下落しているのを目の当たりにし、資産総額が数千万円だと想像すると結構ゾッとしました。
まぁそれもいい経験で、債券をポートフォリオに入れるいいきっかけにはなりました。
この教訓を活かして債券をポートフォリオに入れてリスクを抑えつつ、相場から振り落とされないようまったりと資産運用していきたいと思います。