
投資をすると資産は複利の効果で増えるって聞いたけど、具体的にどういうことなの?分かりやすく知りたいなぁ。
こんなお悩みにお答えします。
☑️本記事の内容
- 単利と複利の違いについて説明
- 投資金額、利益率、投資年数の違いによる複利の威力の大きさを知る
- 複利の効果が得られる投資商品はどれ?
☑️本記事の執筆者

投資歴15年超のサラリーマン投資家です。
私のブログでは投資初心者・中級者の方々に向けて基礎知識を短期間で身に付けられるよう分かりやすくまとめてます。ぜひご覧ください!
投資を継続すると気がつけばどんどん投資資産が膨らんでいくのが実感として分かるようになります。
この雪だるま式に膨らむ仕組みが、複利というものの効果です。
投資において資産がどのように増えるのか単純な式で表すと次のようになります。
- 投資資産=(収入―支出)×利益率×投資年数
実は複利というものを知ることで、この式のそれぞれの項目がどのように資産の増加に影響を及ぼすのかを学ぶことができます。
今回の記事では初めに単利と複利の違いについて解説します。
続いて複利のもつ特徴を投資年数・投資金額・利益率の違いによってどのように変わるのかを解説します。
そして最後に過去の実績から、複利の効果を受けやすい投資商品を解説したいと思います。

この記事を読んでいただければ、「長期投資を行う上で何に注力するべきなのか」という投資の本質となる部分を理解することができますので、ぜひ読んでみて下さい。
単利と複利の違い
銀行などにお金を預けた場合や金融商品を買った場合の資産の増え方には、「単利」と「複利」という2つの種類に分けられます。
「単利」と「複利」についてそれぞれ具体例を元に解説します。
「単利」とは
単利とは、「預けた元本」に対して利息がつく方式です。
例えば100万円を1年間に単利10%の利息がもらえる商品に投資した場合を考えてみます。
- 1年後…100万円×1.1=110万円
- 2年後…100万円×1.1+10万円=120万円
- 3年後…100万円×1.1+20万円=130万円
- 4年後…100万円×1.1+30万円=140万円
- 5年後…100万円×1.1+40万円=150万円
このような感じで単利方式では、投資した100万円の元本だけに毎年利率がかかるので、毎年10万円づつ利息がもらえます。
単利方式の資産増加のイメージを描いてみます。
日本国内の債券市場は単利方式を採用しています。
また投資をしてもらった配当金を再投資せずに使ってしまうと単利の効果しか得られません。
また今の銀行の預金利率は0.1%以下なので、給料の残りを銀行に貯金したとしても、金利が低すぎて単利と同じで貯金した分だけしか増えないのが実情です。
「複利」とは
続いて複利とは、「預けた元本+利息」に利息がつく方式です。
先ほどと同じで、100万円を1年間に複利10%の利息がもらえる商品に投資した場合を考えてみます。
- 1年後…100万円×1.1=110万円
- 2年後…110万円×1.1=121万円
- 3年後…121万円×1.1=133.1万円
- 4年後…133.1万円×1.1=146.4万円
- 5年後…146.4万円×1.1=161.0万円
このような感じで利息にも利率がかかるので、単利の場合は5年後に150万円だったものが161万円と11万円分の利益が増えました。
単利は1年で10万円の利益ですが、複利の場合は1年目10万円→2年目11万円→3年目12万円・・・と徐々に年間の利益額が増えていきます。
複利のイメージを描くと次のような感じです。
複利の場合は、単利のように資産が単調な右肩上がりではなく、どんどん年数が経つにつれて資産の増加が加速していきます。
投資を始めたばかりの頃は、投資本などを読むと投資の年利は5%程度とか書いてありましたが正直理解ができませんでした。
実際に投資をして1年経っても全く増えてなかったり、逆に減るということもあったからです。
年利5%というのはあくまで平均値であり、数年だけ見るとアップダウンしますが、長期間じっくりと投資を継続すると平均的に5%程度の利益が得られるということです。
投資額が小さいうちは資産の増加が緩やかですが、やがて加速して行き、気がつくと雪だるま式に増えるのが複利の効果です。
- 単利:「元本」のみに利息がつき、上昇は一定
- 複利:「元本+利息」に利息がつき、上昇はだんだん加速
複利が持つ3つの特徴から投資の本質を理解する
複利が持つ威力を理解するために、以下の3つのパターンで複利の効果を検証したいと思います。
- 投資期間を変えてシミュレーション
- 投資金額を変えてシミュレーション
- 利益率を変えてシミュレーション
複利の効果① 投資期間を変えてシミュレーション
投資金額を始めの年に100万円として(その後の追加投資はなし)、投資期間を10年間、25年間、40年間と長くして行った場合に、資産の増え方がどれぐらい違うのかを見てみます。
【投資金額100万円、利益率は年利5%固定】(単位;万円)
積立金額 | 資産額 |
5年後 | 348 |
10年後 | 792 |
15年後 | 1,359 |
20年後 | 2,083 |
25年後 | 3,007 |
30年後 | 4,186 |
35年後 | 5,690 |
40年後 | 7,610 |
この表の太字部分が投資期間10年間、25年間、40年間時点の資産額です。
グラフで比較してみます。
この結果を見ると投資した金額は100万円で同じですが、ただ投資期間を長くするだけで、投資している期間中ずっと複利の恩恵を受けられるので、自動的に資産が増えていくのが分かります。
つまりこの結果から複利の恩恵を受けるためには、できるだけ長い間(出来るだけ若い時から)投資することが重要であることが分かります。
そして面白いのは、はじめに投資した元本は全く同じであるのに、最初の5年(0~5年後)は22万円増えたのに対して、最後の5年(35年~40年後)は145万円も資産が増えるという点です。
まさに資産の増加具合が加速しており、これが複利における時間を味方につけた時の効果です。
複利の効果② 積み立て金額を変えてシミュレーション
続いて毎月の積み立て金額だけを変動させて複利の効果を検証してみます。
毎月の積み立て金額は1万円〜10万円で変動、利益率は年利5%に固定した場合でシミュレーションしてみます。
【積立金額を変動、利益率は年利5%固定パターン】(単位;万円)
積立金額 | 1万円/月 | 3万円/月 | 5万円/月 | 7万円/月 | 10万円/月 |
5年後 | 70 | 209 | 348 | 487 | 696 |
10年後 | 158 | 475 | 792 | 1,109 | 1,585 |
15年後 | 272 | 816 | 1,359 | 1,903 | 2,719 |
20年後 | 417 | 1,250 | 2,083 | 2,916 | 4,166 |
25年後 | 601 | 1,804 | 3,007 | 4,210 | 6,014 |
30年後 | 837 | 2,511 | 4,186 | 5,860 | 8,371 |
35年後 | 1,138 | 3,414 | 5,690 | 7,966 | 11,380 |
40年後 | 1,522 | 4,566 | 7,610 | 10,655 | 15,221 |
続いて毎月1万円の積み立てと毎月5万円積み立てした場合をグラフで比較します。
この結果をみると毎月1万円の場合は複利の効果といっても金額が少ないので十分にその効果が得られていません。
一方毎月5万円積み立てた場合は、年数が経てばたつほど資産が加速度的に大きくなり、毎月1万円積み立ての場合との差もどんどん広がっていくのが分かります。
つまり、投資金額が大きければ大きいほど複利の効果が得られるということです。
今回のシミュレーションで示したように、毎月4万円の投資金額の違いで複利の効果が40年も積み重なると、6000万円程度の違い(元本は1920万円の違い)が出てしまいます。

この事実を知ってしまうと、複利の効果を得るために、毎月の支出で無駄なことに使わないようしっかりと管理していきたいですね。
複利の効果③ 利益率を変えてシミュレーション
最後は利益率を変動させた場合の複利の効果を検証します。
利益率を年利0%〜10%まで変動させて、毎月の積み立て金額は5万円ずつに固定した場合で計算してみます。
年利0%というのは現在の銀行預金と同じイメージです。
【利益率を変動、積立金額毎月5万円は固定パターン】(単位;万円)
年利 | 0% | 1% | 3% | 5% | 7% | 10% |
5年後 | 300 | 309 | 328 | 348 | 369 | 403 |
10年後 | 600 | 634 | 708 | 792 | 887 | 1,052 |
15年後 | 900 | 975 | 1,149 | 1,359 | 1,613 | 2,097 |
20年後 | 1,200 | 1,334 | 1,661 | 2,083 | 2,632 | 3,780 |
25年後 | 1,500 | 1,712 | 2,253 | 3,007 | 4,061 | 6,491 |
30年後 | 1,800 | 2,108 | 2,940 | 4,186 | 6,064 | 10,857 |
35年後 | 2,100 | 2,525 | 3,737 | 5,690 | 8,875 | 17,888 |
40年後 | 2,400 | 2,963 | 4,660 | 7,610 | 12,817 | 29,211 |
私がメインで行ってるインデックスの積立投資において、年利7%は結構高めなパフォーマンスであるものの、毎月5万円の積み立てを40年も継続すると1億円を超える力があります。

普通のサラリーマンが資産1億円の富裕層に入れる可能性があるというだけで、複利の魅力を感じずにはいられません。
資産1億円というと日本のトップ2.5%の富裕層に入ります。
銀行預金(年利0%)と年利5%の場合をグラフで比較してみます。
銀行預金の場合は一直線の右肩上がりなのに対して、年利5%の複利の恩恵を受ける場合は年数が経つにつれてだんだん資産が大きく増えていくのがわかります。
複利の恩恵を受ける3つの法則
- 投資期間が長ければ長いほど
- 投資金額が大きければ大きいほど、
- 利益率が高ければ高いほど複利の効果が大きい
複利で利益が大きくなる投資先はどこだ?
さて複利の威力については分かったとして、

で、どこに投資すりゃええねん?
という疑問が湧いてきます。
これから投資をする方にとってはいろいろな投資先がありすぎて迷ってしまうと思います。
また、どの投資商品でも同じように複利の効果が得られる訳ではありません。
ざっと思いつく投資先を上げただけでも、株式投資、不動産投資、ゴールド投資、債券投資などなど、たくさんの投資先があります。
私はすべての投資を実際に試したわけではありませんが、米国のETFという投資商品の結果を見ると大体の投資先の成績は分かります。
さっそく過去10年間の主な投資先(株式投資、不動産投資、ゴールド投資、債券投資)のパフォーマンスを比較してみます。
それぞれ投資対象毎の平均年率(右端)は以下の通りです。
投資対象 | 名称 | 上昇率 | 平均年率 |
(緑)米国株式 | VOO | 260.9% | 13.7% |
(青)米国不動産 | RWR | 100.4% | 7.2% |
(黒)米国債券 | AGG | 44.3% | 3.7% |
(黄)ゴールド | GLD | 29.0% | 2.6% |
この結果を見ると
- 株式 > 不動産 > 債券 > ゴールド
であったことがわかります。
ここでの結果は直近10年の結果ですが、過去200年間さかのぼったとしても株式が有利というデータがあります。

まとめ
複利については、20世紀最大の物理学者であるアインシュタインが「人類最大の発明」「宇宙で最も偉大な力」と言ったほど、強力な力があります。
複利の恩恵を受ける3つの法則を再度まとめます。
- 投資期間が長ければ長いほど
- 投資金額が大きければ大きいほど、
- 利益率が高ければ高いほど複利の効果が大きい
私は複利が持つこの3つの特徴こそが投資で資産を増やすための本質だと考えています。
グラフにして比較すると簡単に複利の効果が得られそうですが、複利の効果を得るには10年だとまだまだ、20年、30年と投資を継続することでようやく複利の効果が実感できるレベルです。
この複利の強大な威力は誰でも得られるものではありません。
ただたんたんと投資を継続できた人だけが得られるものです。
粘り強く投資を継続していきましょう。
いつかその効果が表れる日まで(^O^)/