
実体経済とマネー経済って何なの?
こんなお悩みにお答えします。
☑️本記事の内容
- 実体経済とマネー経済について解説
- 膨張したマネー経済がバブルを増幅する
☑️本記事の執筆者

投資歴15年超のサラリーマン投資家です。
私のブログでは投資初心者・中級者の方々に向けて基礎知識を短期間で身に付けられるよう分かりやすくまとめてます。ぜひご覧ください!
今回の投資に役立つ経済知識では「実体経済とマネー経済を解説。マネー経済の暴走がバブルを生み出す」について解説します。
現在の世の中は、人々がどれぐらい相場の先行きに不安を感じているのかを表す「恐怖指数」やデジタル上の通貨であるビットコインなどなんでも投資商品として取引される世の中になってきました。
これらは私たちが通常の物の売買を通して行われる実体経済とは違い、マネー経済と言われています。
今回の記事では、実体経済とマネー経済の意味から、昔に比べてマネー経済の規模がどれぐらい大きくなったのかを解説します。
また現在の世の中がいかに巨額のマネー経済によって動かされ、その暴走が最近頻発するバブルを増幅しているという点を解説します。

今回の記事では、なぜ最近の相場がこんなにもアップダウンが激しくなったのかが理解できるかと思います。
実体経済とマネー経済
世の中で使われるお金には大きく分けて実体経済とマネー経済の2種類に分けることができます。
両者を簡単にいうと次のようになります。
- 実体経済;お金と商品を交換する経済活動
- マネー経済;お金と金融商品を交換する経済活動
実体経済
実体経済とは私たちが普段生活する際に使っているお金が含まれ、物やサービスを「実物商品」として生産・運搬・販売し、その対価としてお金を交換する活動のことです。
実体経済はそれぞれの企業が行なった付加価値の合計として計算されます。
付加価値の合計って中学校の社会の授業で出てきましたね。
付加価値の合計・・・GDPです。
つまりGDPは実体経済の規模の大きさを反映した数字ということができます。
ちなみに2017年の世界全体のGDPの合計は79.9兆ドル(出典;国際通貨基金(IMF)統計)でした。
マネー経済
マネー経済とはこのブログでも書いているように私の大好きな、お金・株・国債・不動産・商品(石油、金、穀物など)の「金融商品」として売買する活動のことです。
今の世の中はレバレッジを効かせた取引が盛んであるため、マネー経済の規模を正確に把握することはできません。
しかしTHE MONEY PROJECTというサイトではデリバティブ市場には幅があるものの、詳細に実物貨幣からマネー経済の規模までまとめられていました。
以下はTHE MONEY PROJECTのサイトからの引用した数字をまとめました。
項目 | 金額 |
銀 | 170億ドル |
仮想通貨 | 1,730億ドル |
金 | 7兆7000億ドル |
株式市場 | 73兆ドル |
不動産 | 217兆ドル |
デリバティブ | 1200兆ドル |
合計 | 1497兆8,900億ドル |
ここで取り上げられているマネー経済の合計だけでも1,497兆ドル、1ドル110円で換算すると16京4,670兆円となります。
上記の表のデータをグラフにすると以下のようになります。
グラフにしてみるとデリバティブが圧倒的に大きな規模だというのがわかります。
デリバティブというのは金融派生商品といい、先物取引・オプション取引・スワップ取引およびそれらを組み合わせたものです。

聞きなれない言葉が並んでいますが、馴染みの深い言葉でいうとFX、CFDなどのことです。
もともとデリバティブというのは将来起こりうるリスクを低減する(リスクヘッジ)ために考えられた金融商品です。
ところがこのデリバティブを使ってリスクヘッジしながら、50倍〜100倍もの大きなレバレッジをかけて金儲けを目論むファンドが現れました。
それがヘッジファンドです。

今やヘッジファンドによってデリバティブの量が天文学的数字にまで膨れ上がっているのがみて取れます。
実体経済とマネー経済の比率
1980年代まではお金のやりとりの大部分が実体経済が中心でした。
ところがデリバティブの取引量からわかるようにヘッジファンドの登場によりマネー経済の規模が大幅に上昇することになりました。
そして現在、実体経済は世界のGDPの79.9兆ドル、マネー経済は先ほど集計した1,497兆ドルという比率です。
これをまとめると、
1980年代の実体経済90%:マネー経済10%からすると逆転どころか、大逆転!
マネー経済がいかに大きくなっているかということです。
実体経済の約20倍がマネー経済ということはマネー経済を動かす資本家たちのマネーゲームによって世界経済が翻弄されていると言うことです。

その暴走を止められなくなったのが、2008年に起こった世界金融危機(リーマンショック)です。
膨張したマネー経済がバブルを増幅する
マネー経済とバブルの関係
通貨供給量が増える傾向は今後も続くと予想されます。
大きく膨らんだ通貨供給量はヘッジファンドのレバレッジによりさらに増幅し、世界中の余ったマネーは暴走を始めます。
余ったマネーはそのまま黙って沈黙しているわけではなく、投資場所を常に探しています。
そしてマネーが集まる場所はバブルを産み出します。
最近起きたバブルとしてはビットコインが記憶に新しいでしょう。
ビットコイン/円のチャートを掲載します。
2017年1月には1ビットコイン=10万円だったものが、2018年初めには260万円まで急上昇しました。
また同時期に出来高も急増しています。
その後バブルが崩壊して暴落していることを考えると、出来高も多かった分損失を出した人も多かったでしょう。
そしてバブル最後の出来高が急上昇する場面で買って大損するのは、決まって末端の一般投資家です。
一方巨額の資金を運用するヘッジファンドは優位な情報と人工知能(AI)を使って大きな利益をあげます。

バブル末期には「普段株などに興味がない靴磨きの少年が株の話をし始めたから、株を売り抜けたらその後大暴落した」という投資逸話があります。
ビットコインの場合も芸人の〇〇が大儲けしているとか、似たような話がテレビで放送されていましたね。
ちなみにバブルの歴史は今から400年前のチューリップバブルまで遡ります。
image;CONVOY
赤線がビットコインで、緑がチューリップバブルです。
上記のチャートはビットコインがこれまで最大だったチューリップバブルを抜いたという記事です。

バブルの内容としてはチューリップバブルの方がすごいと思いますが。
ただのチューリップの球根が家と同じぐらいの値段で取引されていたようです。
ただバブルは弾けた後じゃないとバブルとは気づけません。

チューリップは気づくだろ!
400年前からバブルは続いているので、今後もバブルはなくならないでしょう。
私が生きてきた30数年の間にも、1990年日本のバブル・2000年ITバブル・2008年金融バブル・2017年仮想通貨バブルと数年おきにバブルが発生しており、バブルが起きる周期は年々短くなってきています。

これもすべてマネー経済の膨張が一因になっています。
現在の相場は官制バブル
現在の相場を考えてみます。
100年に一度と言われた2008年に起きた世界金融危機の影響で世界中の株価は大暴落し、その影響がどこまで及ぶのか分からない状況でした。
そんな中、各国政府は未曾有の危機を収拾するために、市場に大量の通貨を放出し景気の底入れを測りました。
これが通貨供給量(マネーサプライ)の増大につながります。
image;日経HP 世界のカネ1京円、10年で7割増(2017/11/14記事)
通貨供給量は実体経済の時に説明した世界のGDPの79.9兆ドルを超えて87.9兆ドルにまで膨らんでます。
現在の世界の株高はこれらのジャブジャブマネーによって支えられており、いつ金融危機に陥ってもおかしくない状況で、著名投資家や金融機関もそろそろ危機が起きるんじゃないかと警告を発しています。

通貨を発行することができる中央銀行の日銀やFRBが大量にその国の株を買うというのは、明らかにおかしい状況です。
中央銀行は金融危機が起きた際に金利を調整したり、通貨量を調整して経済を安定させることが役目です。

こんな状況なので次に金融危機が起きると中央銀行もどうなるのかわかりませんし、救済側に回れるのかさえわかりません。
そのため次に金融危機が起きるとどこまでその影響がでるのか分からないと言われています。
まとめ
実体経済とマネー経済について解説しました。
マネー経済が膨張し、これらのマネーが今の相場を形成しています。
私はFXで多数の通貨に投資をしており、いろんなチャートを見ているため、マネーがどこに集中してどこに移動するのかがなんとなく分かります。
私たち一般投資家はマネー経済を動かすヘッジファンドと同じ土俵で投資を行い、利益を上げる必要があります。
そんなヘッジファンドに翻弄されないためにもインデックスの積立投資は優位な投資法だと改めて思いました。