
「r>g」ってなんなの?
こんなお悩みにお答えします。
☑️本記事の内容
- 「r>g」を分かりやすく解説
- なぜ投資から得られる利益のほうが大きくなるのか
- 広がっていく格差を埋めるには株式投資が有利
☑️本記事の執筆者

投資歴15年超のサラリーマン投資家です。
私のブログでは投資初心者・中級者の方々に向けて基礎知識を短期間で身に付けられるよう分かりやすくまとめてます。ぜひご覧ください!
投資を行う上で知っておくと役立つ経済の知識のうち、今回の記事では「r>gってなに?富を築くためになぜ投資が必要なのか」について書きたいと思います。
前回の記事✅GDPと株価の関係。だから僕は長期投資がやめられない では、次のグラフのようにGDPの増加に合わせて企業の利益も増え、実際に株価も上昇するということを解説しました。
このグラフを見ると、確かにGDPの増加に合わせて株価も上昇しているものの、「GDPの上昇率<株価の上昇率」であることが分かります。
今回の記事ではなぜ「GDPの上昇率<株価の上昇率」となるのか、フランスの経済学者のピケティの著書「21世紀の資本」で語られる「r>g」という不等式を元に解説したいと思います。

今回の記事を読むとピケティが主張する「r>g」の意味と、広がっていく格差に対して個人はどうするべきなのか理解できるかと思います。
r>gを分かりやすく解説
r>gとは
まずはじめに「r>g」を簡潔に解説します。
「r>g」とは
r;資本収益率
g;国民所得の成長率
資本収益率rというのは、投資でどれぐらい儲けられるかということ。
一方国民所得の成長率gというのは、経済がどれだけ成長したのか(GDP成長率)であったり、もっと身近な例でいうとサラリーマンが働いて得られる賃金の上昇率のことです。
つまり平たく言うと「r>g」ということは、サラリーマンが努力して働くよりも、投資家が投資をした方がより効率よく稼げるということです。
ピケティは20ヶ国以上の膨大な経済データを元にこの「r>g」という不等式を証明しました。

で、いつから、どれぐらいr>gなの?
っていう疑問が湧いてくるかと思います。
以下のグラフがピケティが示す古代から2100年までのrとgの関係です。
※出典;21世紀の資本
上記のグラフではなんと西暦0年からずっと「r>g」だったことが証明されました。
つまり、歴史的に見てrは大体5%ぐらいで安定しています。
gは産業革命の恩恵を受けて、1900年以降ぐぐっとrに近づきましたが、2012年以降は下落傾向で、ますます格差が広がると予測されています。
今は「勝ち組、負け組」などという言葉をよく聞くようになったように、確かに格差が広がっている感がありますね。
r>gを身近な例で考える
「r>g」の不等式を身近な例で考えてみます。
資本収益率rは株式運用の収益率、国民所得の成長率gはサラリーマンの給料の上昇率に置き換えて考えてみます。
株式運用の対象として全世界の株式市場に投資するVTに投資した場合とします。
2007年から2017年までのVTの配当込みのチャートは以下のようになります。
10年間で右肩上がりに上昇し、2007年当時と比べて1.879倍になりました。
これを複利計算すると年平均6.5%程度の利益率でした。
一方私たち日本人サラリーマンの賃金上昇率はというと全く上がっていません。。。
※厚生労働省 「毎月勤労統計調査」を元に作成
上がっていないどころか、むしろ下がっています。
この内容を改めて書くと「r(6.5%)>g(0%)」と圧倒的な差となっており、言い換えると
「サラリーマンは一生懸命働いても平均給料は全く増えなかったが、資本家は働かずに投資をするだけで多くの利益を得ることができた。」
ということです。
なんとも悲しい話ですが、これが資本主義の現実です。
※平均給料なのでベースアップしなかったということです。個々人の給料は昇級があれば上がっていきます。
なぜ投資から得られる利益の方が大きくなるのか
ここまでは実績としての「r>g」という話を説明しました。
続いては

どうして資本収益率rのほうがサラリーマンの給料の上昇率gよりも高くなるのか?
という疑問に、経営者目線で考えてみたいと思います。
企業にとっての利益は、「利益=売上ー費用」で計算されます。
この中で我々サラリーマンへの給料は費用の方に計上されるため、経営者であればできる限り費用を抑えて利益を最大化することを考えます。
考えるというよりも、株式会社は投資家がいて成り立っているので、当然ながら株主は自分の利益になることを優先するため、経営者には利益を上げるよう求めます。
そのため経営者としては労働者から不満が出ない程度の賃金上昇率にとどめ、自分を含めた株主に利益が還元されるよう配当金を多くしたり、自社株買をしたり、企業を買収したりして、企業としての価値を高めようとします。
そうすることでさらに株価は上昇し、株主などの資本家に利益が還元されていきます。

つまり向いている方向は投資家のほうであり、労働者ではありません。
だって投資家がいなくなれば会社として存続ができないのだから。。
悲しいかなこれが株式会社の現状です。
このことからも「資本収益率(r)>国民所得(g)」が成り立つのが理解できるかと思います。
じゃあ我々サラリーマンはどうすればいいのか?
かつての日本も1990年までの発展段階では新興国のように高い経済成長率誇っていました。
当時はサラリーマンになれば経済の成長に合わせて給料は毎年右肩あがり、ローンを組んで家を買えば数十年たつと土地の値段は上昇、余った給料は銀行に預けているだけで8%以上の金利が得られ、自然と資産が増えていくという時代でした。
インフレ率を差し引いたとしても、投資なんかしなくても一生懸命働きさえすればなんとかなりました。
しかし日本は気づけばバブル崩壊以降30年間経済は停滞し、給料も横ばいもしくは徐々に少なくなっている状況です。
※出典;厚生労働省「毎月勤労統計調査」
そしてマイホームを買ったとしても、買った途端に価値は下がり、年数が経つにつれて建物の値段も下がっていってしまいます。
さらに円の価値の下落により、日本が誇る多くの貯蓄額も徐々に目減りしていく可能性もあります。
このような状況の中、サラリーマンの給与収入だけに頼っていては資本家との格差は広がっていくばかりです。
そのためサラリーマンが「r>g」の「r」側につくために最も手っ取り早いのが株式への投資です。
「給料が上がらない」とか不平不満を言う前にとっとと資本家側に回ってしまえば良いんです。

でも本当に株式投資がいいの?
って思う方もいるかと思います。
私も投資を始める前は何に投資すればいいのか全くわかっていませんでした。
そんな疑問に以下の絵がさっくりと解決してくれます。
この図は株式・債券・金・預金を200年に渡って比較した図で、一番上昇したのは株式に投資した場合です。

200年の実績なので疑いようがありませんね。
まとめ
今回の記事では、ピケティが主張する「r>g」の解説と資本主義社会において「r」側につくためには株式投資が有利だというのを解説しました。
資本主義社会というのは、株主などの資本家が自分たちの利益を追求するために企業にたくさん物を作らせ、それをメディアなどを巧みに利用して、労働者に無駄な消費をうながし、一生労働階級から這い上がれないようにする社会。。。

と言えば言い過ぎでしょうか。
でも資本主義の現実として、結果として現れたのが「r>g」という不等式です。
ピケティにより0年~2100年まで「r>g」という実績が示され、さらにここ200年間では株式投資が圧倒的に有利だったという事実を知ってしまうと、株式投資をしない理由が私にはありませんでした。
なので私はこれからも株式投資を継続します。
興味がある方は次の記事も参考にしてみてください。✅ピケティが「21世紀の資本」で言いたかったことを簡潔に解説