国の発展によって変わる経常収支と為替の関係

くわにゃん(@kuwanyan98)です。

投資に役立つ経済知識の第5弾は「国の発展によって変わる経常収支と為替の関係」についてです。

 

国全体のお金のやりとりの結果を表す経常収支は、大まかにいうと以下の2つからなっています。

経常収支=貿易収支+所得収支

そして経常収支はいつも一定ではなく、国の発展段階に合わせて経常収支の内容も変化していきます。

 

今回は国の発展していく過程で貿易収支、所得収支、その合計である経常収支がどのように変化するのか経済発展段階説を使って説明します。

 

この変化の流れがわかれば、例えば今日本が置かれている状況や今後どのように日本経済が動いていくのか大きな流れをつかむことができるようになります。

 

また経常収支と為替の関係も説明します。

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国の成熟度によって変わる経常収支

経済発展段階説というのは経常収支と貿易収支、所得収支が以下のように左側から右側へ国の経済が発展していくというものです。

冒頭で書いたように経常収支は、その他の微々たる項目を無視すると以下のようにあらわされます。

経常収支=貿易収支+所得収支

上記のグラフを見ると経常収支を示す実線が貿易収支と所得収支の足し合わせになっていることと、貿易収支が増えれば反対に所得収支が減っている関係が見てとれると思います。

 

これから一番左側の1段階目から6段階目まで国が発展していくにつれてどういう経済の状態になっていくのか、また日本やアメリカ、中国などの国々が今どの段階にいるのかを説明していきます。

1段階目:未成熟の債務国

1段階目は未成熟の債務国と呼ばれ、グラフの一番左側の状態です。

経常収支 貿易収支 所得収支
赤字 赤字  赤字

債務国なので債権を返済する義務がある国ということでわかりやすくいうと海外から借金をしている国ということです。

 

この時は経常収支はおろか貿易収支、所得収支すべてが赤字です。

日本でいうと戦後のような状況で、とにかく自分の国だけでは産業を発展させることができないので、海外から借金をして手助けしてもらっている状態で所得収支は赤字です。

 

また産業が発展していないので海外に輸出できるものは綿織物ぐらいで、機械や食べ物などを輸入に頼っている状態なので貿易収支も赤字です。

 

そして当然ながら為替も安い状態です。

未成熟の債務国;トルコ・メキシコ

2段階目:成熟した債務国

2段階目は成熟した債務国と呼ばれ、グラフの左から2番目の状態です。

経常収支 貿易収支 所得収支
赤字 黒字  赤字

海外から借金をしたおかげで経済は発展し、徐々に海外への輸出が増えてきて輸入より輸出の方が多くなり貿易収支が黒字に変わります。

 

日本では1955年〜1965年ぐらいが該当します。

この時期に主に輸出していたのは鉄鋼や機械類です。

 

所得収支はマイナスなのでまだまだ海外に借金をしている状況です。

成熟した債務国;カナダ・オーストラリア

3段階目:債務返済国

3段階目は債務返済国と呼ばれ、グラフの左から3番目の状態です。

経常収支 貿易収支 所得収支
黒字 黒字  赤字

この頃は輸出が絶好調で、はっきりいうとボロ儲け状態です。

そして海外から儲けたお金を徐々に借金の返済にむけ、所得収支も緩やかに赤字が減ってきます。

 

日本では1965年〜1985年ぐらいが該当し、高度経済成長もこの頃に起こりました。

主要輸出品は機械や自動車です。

1段階目の綿織物から比べるとだいぶ付加価値が高く、利益がいい物へ変化しているのがわかります。

 

この頃の為替は徐々に円高に向かっていってはいますが、まだまだ安く抑えられている状態です。

為替が安いということはアメリカやイギリスなどの先進国と比べて相対的に労働力は安く、同じ製品でも日本人だと安く作ることができました。

債務返済国;中国

4段階目:未成熟の債権国

4段階目は未成熟の債権国といわれ、グラフの左から4番目の状態です。

経常収支 貿易収支 所得収支
黒字 黒字 黒字

未成熟の債権国になると貿易収支が徐々に減少し、その代わり海外投資などからの収益である所得収支が徐々に増加してきます。

 

日本では1985年〜2010年ぐらいが該当します。

日本が3段階目の債務返済国として稼ぎまくっていた最終段階の1985年にアメリカとの貿易摩擦が激化し、円高誘導策であるプラザ合意が行われます。

 

プラザ合意では発表翌日の9月23日の1日24時間だけで、ドル円レートは1ドル235円から約20円下落しました。

にゃん
にゃん

1日で10%程度の落ち込みですので、ものすごい下落だ、ニャン

そして1年後にはドルの価値はほぼ半減し、150円台まで下落しました。

 

輸出大国として発展してきた日本は円が強くなることで、相対的に輸出品の価格競争力がなくなってしまいました。

そこで考えたのは海外に進出し、海外の安い労働力を使って生産し、今まで通りの安い価格の製品を造ろうというものです。

 

この流れが貿易収支の減少から、所得収支の増加につながります。

未成熟の債権国;ドイツ

5段階目:成熟した債権国

5段階目は成熟した債権国と言われ、グラフの左から5番目の状態です。

経常収支 貿易収支 所得収支
黒字 赤字 黒字

成熟した債権国になると為替の力はだいぶ強くなり、自分たちの国で品物をつくるより海外で作ったものを買う方がメリットが生じます。

 

そしてこれまでの国が発展する段階で溜め込んだ貿易収支を海外投資に向けていたことから、海外からの投資収益である所得収支はピークを迎えます。

 

日本では2010年〜現在に至るまで成熟した債権国となっています。

成熟した債権国;日本

6段階目:債権取崩し国

6段階目は債権取崩し国といわれ、グラフの一番右側の最終段階です。

経常収支 貿易収支 所得収支
赤字 赤字 黒字

債権取崩し国の段階では貿易収支はさらに赤字が拡大し、所得収支の黒字だけではまかないきれない状態となります。

経常収支も赤字に転じて、これまでの対外資産を切り崩して対応することになります。

 

今のアメリカやイギリスがこの状態です。

債権取崩し国がお先まっ暗かというとそういうわけではなく、今のアメリカやイギリスは貿易赤字が拡大する一方、世界に投資機会を与える環境を整え、世界中からうまく資金を集めてやりくりしている状況です。

くわ
くわ

経常収支の赤字分だけ海外からの投資を呼び込んでいることになります。

債権取崩し国;アメリカ・イギリス

その後・・・

経済発展段階説の6段階目のその後ですが、まだどういう形態になるのか誰にもわかりません。

なぜならまだその段階に突入している国がないからです。

 

また国自体も常に発展し続けるわけではなく、5段階目まで行って再び4段階目に戻るということもありえます。

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為替と経済発展段階説の関係

これまで為替と経済発展段階説の関係を説明してきましたが、改めて長期チャートで確認してみます。

1973年まではドル円は固定相場制だったので1971年までは1ドル=360円、1971年〜1973年までは1ドル308円でした。

 

その後経常収支がプラスになる3段階目では、海外で外貨を稼ぎ円へ転換するながれから円高が進んでいるのがわかります。

日本の輸出企業が外貨を稼ぎ円高に向かう流れは以下の通りです。

4段階目に入るとさらに経常収支は拡大するため、円高が加速します。

やがて円が強くなりすぎると日本の企業は海外へ進出するため、その後はレンジ相場へと移行します。

くわ
くわ

先進国通貨がレンジを形成するのはこのような流れがあるからです。

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まとめ

経済発展段階説から国の発展状況によって経常収支が変化する流れを解説しました。

解説する中で為替が絶妙な役割を果たしているのが理解できたかと思います。

 

為替が変動相場制により自由に動くことで、経済の調整役になっています。

国の状態によって通貨の強弱はあって当たり前で、この為替の自動調整機能があるからこそ経済がうまく機能します。

 

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