くわにゃん(@kuwanyan98)です。
投資に役立つ経済知識の第8弾は「GDP(国内総生産)っていったいなんだ?」についてです。
前回まで為替と経常収支についてまとめましたが、今後数回にわたって国の経済の規模を示すGDPについて解説したいと思います。
今回はGDPの定義とGDPが何を意味するのかについて解説したいと思います。
GDPの内容を理解するとなぜ長期的に株価が上昇していくのかがわかるようになります。
GDPの意味と定義
GDPとは
GDPはGross Domestic Productの略称で国内総生産と言われます。
国内総生産という言葉から想像できるようにGDPは、日本国内で作った農作物や自動車、電子機器や工場の建設など国内で生産された物や、電車での移動やホテルなどで提供されたサービスの金額の合計金額で表されます。
合計金額なので、日本のGDPの場合だと「円」で表記されます。
GDPの金額が前年度よりもどれぐらい増えたかによってその国の成長具合を数値で確認することができます。
例えば日本のGDP成長率は2%程度ですが、発展が続く中国は7%ぐらいあります。
「70の法則」を用いると複利計算では今のGDPの2倍の水準になるには日本が35年、中国が10年なので、いかに中国の成長率が高いかわかるかと思います。
1980年から2019年までの日本のGDPの推移を掲載します。
※image;世界経済のネタ帳
このGDPの推移を見るとバブルがはじける1990年ぐらいまでは急成長し、その後横ばいが続き、リーマンショックで少し下落、昨今のアベノミクスによる景気回復で再度上昇しているのがわかります。

直感的に感じている景気とだいたい一致しますね。
またバブルがはじけたあとからアベノミクスが始まる2013年ぐらいまでは横ばいが続き、失われた20年と言われるのもわかりますね。
GDPの定義
GDP(国内総生産)の正しい定義は、「一定期間内に国内で生産された財とサービスの付加価値の合計額」です。

「付加価値の合計」って一度は聞いたことがあるかと思います。
でもよく考えてみると「付加価値の合計」ってなんだ???って感じですね。
付加価値というのは、財やサービスを生産する過程で新たに付け加えられた価値のことを言います。
文字ではわかりづらいので、小麦を作る段階から小麦粉に変わり、最後はパンとして売り出す段階を例として考えてみます。
【小麦農家】小麦農家はゼロから小麦を作るので、小麦を売って得たお金(①100円)がすべて付加価値です。
【小麦粉屋】小麦粉屋さんは、小麦農家から小麦を100円で仕入れ、小麦粉を製造し150円で売ります。
売価の150円から小麦の仕入れ値100円を引いた残り、②50円が小麦粉屋さんの付加価値です。
【パン屋】パン屋さんは、小麦粉屋さんから150円で小麦を仕入れてパンを作り、180円売ります。
売価の180円から小麦粉の仕入れ値150円を引いた残り、③30円がパン屋さんの付加価値です。
この一連の流れを考えると付加価値の合計は①+②+③=180円です。
ちなみに最終生産物はパンで、売値は180円です。
付加価値の合計と最終生産物の値段が一致したとおり、GDPは最終生産物の値段の合計でもあります。
このようにGDPは日本国内で生産された財やサービスすべての付加価値を合計して求められます。
名目GDPと実質GDPの違い
経済指標を見るときは名目値なのか実質値なのかをよく確認する必要があります。
巷にあふれる情報も名目値と実質値がごちゃ混ぜになっていることが多く、どちらなのか理解していないと情報を見誤る可能性があります。
GDPの場合も名目GDPと実質GDPがあり両者の違いは以下の通りです。
・実質GDP・・・名目GDPからインフレ率を差し引いたもの
そして大切なのは実際にどれぐらい経済が発展したかを示す実質GDPの方です。
なぜかと言うとGDPを集計しただけの名目GDPは物価が上昇したインフレ分も含まれるため、経済成長率がゼロの場合でもインフレ率分GDPが大きくなってしまいます。

インフレ率10%以上のトルコなどは、名目GDPだけを見ていると毎年10%以上高成長していることになってしまいます。
このように国が経済成長したのかを理解するには名目値ではなく実質GDPで比較しないと間違ってしまいます。
ちなみにインフレ率を考慮するのでインフレの時とデフレの時で名目GDPと実質GDPの大きさは逆になります。
【デフレの時】 名目GDP<実質GDP
GDPの三面等価の原則
三面等価の原則とはマクロ経済学上の原則で、生産面から見ても、分配面(所得面)から見ても、支出面から見てもGDPが同じ値になると言うものです。
生産面から見たGDP
生産面から見たGDPはこれまでに説明した付加価値の合計から説明ができます。
この図で言う①、②、③のそれぞれの付加価値が、各生産者が生み出した価値です。
なのでこれらの付加価値の合計=GDPが生産面のGDPとなります。
分配面から見たGDP
分配面から見たGDPというのは簡単に言うと企業が得る所得をどのように分配するかということです。
企業は所得(売上)を得ると従業員に支払ったり、会社を運営する経費や、設備投資、株主還元に使ったりします。
つまり先ほどの図で言う付加価値分を企業の利益として受け取り、その利益をいろいろなところに分配します。
そしてその分配額は付加価値の合計と一致します。
これが分配面から見たGDPです。
支出面から見たGDP
支出面から見たGDPは、使われたお金の総額を求めればそれがGDPになるということを示しています。
上の図右端の最終成果物は生産活動を通して得られた付加価値の合計なので、この最終成果物に対して支払われるお金を合計すれば、それがGDPになることがわかります。
まとめ
GDPの言葉の意味から三面等価の原則まで解説しました。
三面等価の原則から考えるとGDPが増えるということは、それだけ企業の収益も増えるということです。
企業の収益が増えるということは、収益をもとに売り買いされる株価も上昇するということ。
以下のグラフは1970年以降の全世界のGDPの推移です。
出典;UN, National Accounts Main Aggregates Database
このグラフからもわかるようにGDPは基本的には右肩上がりとなっており、今後も長期に渡って増えていくことが予測されています。
このGDPが今後も増えていくことが株価の上昇に繋がり、私が長期投資をする前提になっています。

この事実をしっていると多少の経済不況によって株価が下がったとしても、長期で株を買っておけばその見返りが返ってくるのがわかるかと思います。
次回はGDPと株価の関係についてもう少し突っ込んで書きたいと思います。
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