
GDP(国内総生産)と株価ってどういう関係があるのかなぁ?
こんなお悩みにお答えします。
☑️本記事の内容
- GDPと株価の関係を解説
- 米国のGDPとS&P500の関係
- 日本のGDPと日経225の関係
- 全世界GDPとFTSEオール・ワールド・インデックスの関係
- 未来のGDP予測から考える株式投資の有効性
☑️本記事の執筆者

投資歴15年超のサラリーマン投資家です。
私のブログでは投資初心者・中級者の方々に向けて基礎知識を短期間で身に付けられるよう分かりやすくまとめてます。ぜひご覧ください!
投資を行う上で知っておくと役立つ経済の知識のうち、今回の記事では「GDP(国内総生産)と株価の関係」について解説したいと思います。
前回の記事✅GDP(国内総生産)を分かりやすく解説。三面等価の原則から長期投資の有効性を考える ではGDPの基本的な内容から、GDPがもつ三面等価の原則について解説しました。
世界人口の増加に合わせて世界のGDPは増加しており、三面等価の原則によるとGDPは「生産額=支出額=所得額」であるため、GDPが増えるということは企業の収益も増えるということをを解説しました。
そこで今回の記事では「GDPが増えて企業の収益が増えているのはわかった。では株価は連動しているの?」という点について実績を元に解説します。
さらに未来のGDP予測から株式投資の有効性を説明したいと思います。

GDPはリーマンショックやコロナ禍でこそ若干下がっているものの概ね右肩上がりで増えています。前回と今回のGDPに関する記事を読むと株式投資はギャンブルと違って利益になりやすいというのが理解できるかと思います。
GDPと株価の関係
米国のGDPとS&P500の関係
まずはじめに米国のGDPと米国の代表指数であるS&P500の推移を比較してみます。
※上記のグラフは1970年を1として指数化して表示
1970年からの比較ですが、GDPの方はリーマンショックのあった2008年に若干減少したものの、それ以外は一貫して右肩上がりになっているのが分かります。
そしてS&P500の株価の方をみると、基本的には右肩上がりになっているのが分かります。
2000年以降はネットが普及して株の取引がしやすくなったためか、アップダウンが激しくなっています。

2000年のITバブルと2008年の不動産バブルにより大きく下落しました。
今の相場もGDPと大きく乖離しており、なんとなくバブル状態になっているような気もしますね。
グラフで比較して見るとなんとなく関係性がありそうですが、今度は統計学で使われる相関係数というのを算出しGDPと株価にどれぐらい関係性があるのか確認します。

相関係数は−1〜+1の値で表され、+1に近いほど関係性が強い、つまりGDPが上昇すれば株価も上昇しやすいということです。ちなみに相関係数が0.7以上だと強い相関があると判断できます。
1970年から2018年までのGDPとS&P500の相関係数を計算すると0.95となり、かなり強い相関がみられました。
この結果により米国のGDPが増えると、それに連動してS&P500もかなり高い確率で上昇するということが分かりました。
日本のGDPと日経225との関係
続いて日本の場合でGDPと日経225(日経平均株価)の推移を比較してみます。
※上記のグラフは1970年を1として指数化して表示
この結果をみると特に1985年から1990年のバブル期についてはGDPの伸びに対して日経平均が急激に上昇しており、まさに実態のないバブル状態であるのがみて取れます。
またバブル崩壊以降はGDPが横ばいになっており、それに連動する形で株価も20年間横ばいが続いております。
アベノミクスと言われる2012年以降は若干ですがGDPが上昇し始めており、GDPに連動する形で株価も上昇を開始したところであるのが分かります。

このグラフを見るとGDPが伸びていないため、株価も上昇していないというのがよく分かります。
それにしてもバブル以降30年も横ばい状態が続いているなんて、結構危機的状況にありますね。
1970年から2018年までのGDPと日経平均の相関係数は0.61で、強い相関とまではなりませんでした。
これはバブル期の乖離が大きく影響を与えているものと考えられます。
ちなみにバブル期の影響を無視して、2000年から2018年までの相関係数を求めると0.74となり、GDPと日経平均の間にも強い関係性があるのが分かりました。
全世界GDPとFTSEオール・ワールド・インデックスとの関係
つづいて世界のGDPと株価の関係をみてみます。
世界の株価指数として使用したのはFTSEオール・ワールド・インデックス(VT)を用いました。
※上記のグラフは2008年を1として指数化して表示
2008年以降はGDP、株価指数であるVTともに右肩上がりに上昇しています。
途中GDPに若干落ち込みがみられる箇所は株価も連動して落ちているところがあります。
これまで比較したS&P500や日経平均株価と比べて、GDPとの乖離が大きいように見えます。
これはリーマンショックで世界中の株価が急落し、2008年以降はその反動で急上昇したため、GDPの上昇率に比べて大きくなったものと思われます。
もう少し長期間のデータがあれば相関関係がわかりやすかったと思います。
いずれにしても2008年から2018年までのデータで相関係数を求めると0.83となり強い相関がみられました。
これまでの結果をまとめると、
と言えそうです。
今後のGDP予測から長期株式投資の有効性を考える
ここまででGDPが大きくなると株価も連動して上昇していくという関係が分かりました。
そう考えるとコツコツと長期で投資を継続すると、今後も世界のGDPが増えていくのであれば、株価の上昇により利益も大きくなり、世界経済の成長の恩恵が受けられそうです。
そこで今後の世界の主要国のGDP予測をみてみます。
長期の予測は難しいのですが、日本経済研究センターが公表している2060年までのGDP予測を掲載します。
※引用 日本経済研究センター
このデータを見ると全体的には右肩上がりの傾向が見てとれます。
アメリカはこれまでと同じく力強く上昇しているのが分かりますが、中国とインドの上昇が素晴らしいです。

新興国は伸び代が大きいため上昇し、成熟国となった日本、ドイツ、英国は横ばいで推移する想定です。
対して、新興国ではないアメリカの上昇力はすごいですね。
この結果を見る限り、少なくとも今後40年以上は世界のGDPが右肩上がりに増えていくので、長期投資が有効なのが分かります。
そして今後も米国を中心とした長期投資に加えて、新興国も少しづつ投資していく戦略が良さそうです。
まとめ
これまでのGDPと株価の変動を比較し相関係数を用いることで、両者は連動して上昇していくことが分かりました。
これは過去の実績に基づく統計的な事実なので、今後長期投資を継続していく上で力強いバックアップとなります。
最後にこれまでGDPと株価指数との関係をまとめていて気づいたことがあります。
それはGDPと株価指数に相関関係はあるものの、GDPよりも株価指数の方が上昇率が大きいということです。
これはフランスの経済学者であるピケティが資本主義の特徴として示した「株価収益率(r)>国民所得の成長率(g)」に関係していそうです。
ということで「r>g」については次の記事を参考にしてください。