
つみたてNisaを始めたんだけど、買ってる商品が暴落するとこわいなぁ。
どういう風に対処したらいいんだろう?
こんなお悩みにお答えします。
☑️本記事の内容
- 過去の暴落相場から、下落率と暴落期間を知る
- 暴落はピンチ?チャンス?リーマンショック相場で積み立て投資の効果を検証
☑️本記事の執筆者

投資歴15年超のサラリーマン投資家です。
私のブログでは投資初心者・中級者の方々に向けて基礎知識を短期間で身に付けられるよう分かりやすくまとめてます。ぜひご覧ください!
つみたてNisaで投資を始めると、資産が徐々に増えて行き「投資って意外と簡単だな」と思うかと思います。
なぜなら過去の相場をみても、株式相場というのはアップダウンはあるものの、基本的には右肩上がりで、順調に行っている期間のほうが多いからです。
しかし、右肩上がりに上昇する株式相場でも、大体10年に一回程度は暴落する時がくると言われています。
投資の経験が浅いと、暴落が起きることで自分の資産が-30%、-40%と瞬時に利益が飛んでいく状況を目の当たりにすると、不安で不安で居ても立っても居られなくなると思います。
今回の記事では、過去に起きた暴落がどれぐらい下落し、どれぐらいの期間続くのかを確認し、暴落に対するイメージを持っていただこうと思います。
そして、リーマンショック時を例に暴落相場が積立投資にどういう影響を与えるのかを解説します。

今回の記事を読んでいただくと、暴落は闇雲に恐れるものでは無く、むしろ暴落を早く経験してみたいと思うようになるかもしれませんw
過去の暴落相場を知る
まず初めに暴落相場のイメージを持つために、過去の相場でどれぐらい下落して、下落が終わるまでにどれぐらいの時間がかかったかを確認してみます。
次の図はアメリカの代表指数であるS&P500の1970年以降のチャートと主な暴落の下落率をマーキングしたものです。
暴落名 | 下落率 | 下落期間1
(高値〜底値) |
下落期間2
(高値〜回復) |
第一次オイルショック | -48.2% | 21ヶ月 | 90ヶ月 |
ブラックマンデー | -33.5% | 3ヶ月 | 23ヶ月 |
ITバブル | -49.1% | 31ヶ月 | 86ヶ月 |
リーマンショック | -56.8% | 17ヶ月 | 66ヶ月 |
コロナショック | -33.9% | 1ヶ月 | 6ヶ月 |
平均 | −44.3% | 15ヶ月 | 54ヶ月 |
表では下落期間を2つ表示していますが、それぞれ次の通りです。
- 下落期間1・・・暴落前の高値から、最も下落した時までの期間
- 下落期間2・・・暴落前の高値から、暴落後に再び暴落前の高値に戻るまでの期間
過去に遡るほどグラフではあまり下落してないように見えますが、表の下落率を見ると第一次オイルショックの時で-48.2%も下落していました。
過去半世紀の相場を見るとリーマンショックの-56.8%というのが一番大きな下落でした。
ITバブルの時はずるずると下落し、回復までに86ヶ月(7年以上!)もかかりましたが、コロナショックに至っては6ヶ月で元の相場に戻っています。
これはかなり迅速にトランプ大統領が経済対策を、米国の中央銀行であるFRBが金融緩和(市場にお金を流通させること)を行った結果だと思います。
また株取引がネットで高速に行われるようになったのも影響がありそうです。

コロナで経済が大打撃を受ける中、こんなにも急速に相場が回復すると思った人はかなり少なかったのではないでしょうか。
過去の大きな下落相場からざっくりと以下の特徴があると考えておくとといいと思います。
- 大きな暴落相場は、10年に1回程度起きた
- 暴落相場では−40%ぐらい下落した
- 暴落後15ヶ月ぐらいで反転上昇し始めた
暴落相場は世の中に流れるニュースもネガティブなものばかりになるため、投資をやめたくなります。
でもこれらの特徴を知っておくことで、暴落は永遠に続くものでは無いことを理解し、下落率を知ることである程度の心構えも出来ると思います。
暴落はピンチ?チャンス?積み立て投資の効果を検証
続いてつみたてNisaをしている途中で暴落が起きた場合、それはピンチなのか?チャンスなのか?どんな影響があるのかについて解説します。
先ほどと同じくS&P500のチャートを使って、リーマンショック時の値動きから実際の資産の変動をシミュレーションしてみます。
- グラフ中①・・・2007年から2013年末まで直線的に相場が動いたと仮定したもの
- グラフ中②・・・実際の暴落相場
※グラフの縦軸は、S&P500の価格を分かりやすくするために、1ドル=100円としてドル表示を円表示に変換しています。
この二つのグラフを使って、積み立て投資した場合の結果の違いを比較してみます。
単純にするために毎年12月に40万円を投資すると仮定してシミュレーションしてみます。
毎年の利益がどのように変動し、最終的な利益がどうなるのかを比較してみましょう。
積み立て投資の途中で暴落が「ない」相場の場合
暴落がない相場の場合では、投資を始めてから順調に右肩上がりに株価が推移するため、一度も損失になることはありません。
そしてドルコスト平均法による平均買い付け額はちょうどラインの真ん中付近になります。
そして「暴落がない相場」の場合の投資期間中の年末の評価損益の状況は以下のようになります。
現在価格 | 積立金額 | 合計買い数量 | 平均買い価格 | 評価損益 | |
2007年12月 | 149,683 | 400,000 | 2.7 | 149,683 | 0 |
2008年12月 | 155,542 | 800,000 | 5.2 | 152,556 | 15,657 |
2009年12月 | 161,401 | 1,200,000 | 7.7 | 155,395 | 46,380 |
2010年12月 | 167,259 | 1,600,000 | 10.1 | 158,200 | 91,624 |
2011年12月 | 173,118 | 2,000,000 | 12.4 | 160,974 | 150,879 |
2012年12月 | 178,977 | 2,400,000 | 14.7 | 163,719 | 223,672 |
2013年12月 | 184,836 | 2,800,000 | 16.8 | 166,435 | 309,558 |
このような相場では常に利益になることから投資なんて簡単だと思うことでしょう。
そして相場が右肩上がりになるのに合わせて、平均買値も徐々に上昇していくことになります。
最終的な利益としては、投資額280万円に対して利益が31万円、利益率としては11%という結果です。
積み立て投資の途中で暴落が「ある」相場の場合
一方実際の価格の動きである暴落が途中である相場の場合は、投資を初めて1年後にリーマンショックと言われた大きな暴落が起きることとなります。
そして暴落「あり」の場合の投資期間中の年末の評価損益の状況は以下のようになります。
現在価格 | 積立金額 | 合計買い数量 | 平均買い価格 | 評価損益 | |
2007年12月 | 146,836 | 400,000 | 2.7 | 146,836 | 0 |
2008年12月 | 90,325 | 800,000 | 7.2 | 111,848 | -153,943 |
2009年12月 | 111,510 | 1,200,000 | 10.7 | 111,735 | -2,416 |
2010年12月 | 125,764 | 1,600,000 | 13.9 | 114,940 | 150,668 |
2011年12月 | 125,760 | 2,000,000 | 17.1 | 116,953 | 150,612 |
2012年12月 | 142,619 | 2,400,000 | 19.9 | 120,569 | 438,917 |
2013年12月 | 184,836 | 2,800,000 | 22.1 | 126,871 | 1,279,271 |
リーマンショックでは下落前の最高値と比べると最大で51%も下落したため、投資を始めて一年後に約15万円の損失が出ました。

おそらく底値近辺では投資をもうやめたくなったかもしれませんね。
しかしそのままドルコスト平均法で積み立て投資を続けることで、気が付けば平均買値は下がり、その後の上昇相場とともに利益がだんだんと大きくなりました。
最終的な利益としては、投資額280万円に対して利益が128万円、利益率としては+46%という結果です。
暴落はピンチか?チャンスか?
もうお気づきかと思いますが、ドルコスト平均法でキーとなるのは平均でいくらで買ったかということです。
なぜなら投資の利益というのは、次のようになるからです。
- 利益=(売却時の価格―平均買い価格)×買った数量
つまり、平均買い付け価格が下がるような相場環境が途中で訪れたほうが、売却時に上昇していると、大きな利益につながるということです。
ここで先ほどの暴落が「ない」場合と「ある」場合の成績をまとめてみます。
項目 | 暴落なし | 暴落あり |
積立総額 | 2,800,000 | 2,800,000 |
平均買値 | 166,435 | 126,871 |
利益額 | 309,558 | 1,279,271 |
損益率 | 11% | 46% |
暴落によって平均買い価格がどのように変動したのかを確認します。
参考に右肩上がり相場の場合の平均買い価格の推移も掲載します。
途中で暴落がある場合は、暴落に合わせて、平均買い価格が下落したのが分かります。
そしてそのまま継続すると、株式相場の長期では上昇するという性質から、やがて平均価格を実際の相場が上回り、その時点から利益に変わりはじめます。
- 暴落時の買いは、長期で見るとチャンス
- やることはつみたてNisaを継続するだけ
まとめ
暴落が積み立て投資に及ぼす影響について書きました。
暴落が恐れるものではなく、積み立てを継続することで、資産を増加させる可能性が高いことを過去の相場を元に解説しました。
つみたてNisaでやることは、「積み立ての設定を変えず、ただ傍観するだけ」です。
そして数年後に訪れる上昇相場で利益が自然と出るまでじっくりと待ちましょう。

短期的な成績を気にせず、時間をじっくりと使えるのが個人投資家の強みですからね。