
まわりのみんながつみたてNisaを始めてるけど、何かデメリットってないのかなぁ?
こんなお悩みにお答えします。
☑️本記事の内容
- つみたてNisaは終了時に損失があると余分な税金がかかる
- 過去50年の値動きを使って、積立投資のシミュレーションをしてみた結果
- つみたてNisaのデメリットの克服方法
☑️本記事の執筆者

投資歴15年超のサラリーマン投資家です。
私のブログでは投資初心者・中級者の方々に向けて基礎知識を短期間で身に付けられるよう分かりやすくまとめてます。ぜひご覧ください!
つみたてNisaは毎月一定金額を投資信託などに投資し、最大で20年間も利益に対して税金がかからないというのが最大のメリットです。
ではつみたてNisaのデメリットがないかと言うとそうではありません。
使い方によっては余分な税金がかかる可能性があるのです。
今回の記事では、つみたてNisaのデメリットを解説し、その後過去50年間の相場から、つみたてNisaで3・5・10・15・20年と投資期間を変えて、成績がどうなるかを見てみます。
その結果から、つみたてNisaのデメリットの克服方法を提案します。
つみたてNisaのデメリット
つみたてNisaでは、運用開始後20年間は非課税となりますが、20年を超えて運用すると課税されるようになります。
そしてその税金は、非課税期間終了時点の価格を起点とした利益に対して課せられます。
つまり、非課税期間終了時で損失がある場合は余分な税金がかかってしまうことになるのです。
余分な税金がかからない場合 =非課税期間終了時に利益がある場合
まずは、余分な税金がかからないパターンからみてみます。
次の図のように非課税期間終了時点で利益がある場合を考えてみましょう。
非課税期間に発生した利益の分は非課税(=図中の①)で、その後売却すると非課税期間終了からの値上がりした分の利益だけに課税(=図中の②)されます。
つまり、つみたてNisaで投資をし利益を得た分だけ節税できていると言うことになります。
余分な税金がかかる場合 =非課税期間終了時に利益が無い場合
問題となるのは、次の図のようにつみたてNisa終了時点で損失が発生している場合です。
非課税期間終了時の価格が新規価格として設定されるため、その後売却した場合に非課税期間終了時点の価格からの値上がり分が課税(=図中の③)されます。
つまり、この図のように非課税期間終了時点で損失が出ている場合は、つみたてNisaで投資をしていなければかからないはずの分まで税金を支払わなければならいと言うことなのです。
非課税期間終了時点の価格が新規価格として設定されてしまうことで、もし非課税期間終了時点で損失があり、さらに売却時にトータルで損失が出てしまった場合、利益もないのに税金を取られてしまうと言うダブルパンチ状態になってしまいます。
つみたてNisaのデメリットは、終了時点で損失があると余分な税金がかかる
過去50年間の値動きを元に、積立投資をシミュレーション
続いては、つみたてNisaの積立投資で投資した場合、投資期間によって成績がどう変わるのかを説明します。
シミュレーションには、アメリカの代表的な指標であるS&P500の1970年〜2020年の50年間を使用します。
1970年以降のS&P500の値動きは次のグラフの通りでした。
グレーの帯は1970年以降にS&P500が経験した数々の暴落局面です。
さまざまな暴落がありながらも今日までS&P500は力強く上昇してきたのが分かります。
このチャートデータを用いて、毎月10,000円ずつ(1ドル=100円で固定と仮定)、S&P500に積立投資したと仮定します。
シミュレーションした投資期間は3年・5年・10年・15年・20年です。
1970年〜2020年までの期間において、投資開始時期を1ヶ月ずつずらした場合の投資パフォーマンスを全ての投資期間において計算し検証しました。
例えば投資期間10年であれば、
- 1970年1月〜1979年12月
- 1970年2月〜1980年1月
- ・・・
- 2010年3月〜2020年2月
- 2010年4月〜2020年3月
と1ヶ月ずつ投資タイミングをずらして全パターンで検証しました。
短期間の積立投資では、マイナスになることは普通にある
まず積立投資の期間15年以下の場合のシミュレーション結果から説明します。
投資期間 | 3年 | 5年 | 10年 | 15年 |
最大年利 | 16.2% | 13.8% | 10.6% | 9.2% |
最小年利 | -16.6% | -9.8% | -4.7% | −1.7% |
マイナス回数 | 99回 | 75回 | 23回 | 10回 |
プラス回数 | 470回 | 470回 | 462回 | 415回 |
平均年利 | 4.1% | 4.4% | 4.8% | 4.9% |
- 最大年利…投資期間毎の成績の最大利益(MAX(利益額/投資元本))の年間利率
- 最小年利…投資期間毎の成績の最小利益(MIN(利益額/投資元本))の年間利率
- マイナス回数…投資期間毎の成績の内マイナスになった回数
- プラス回数…投資期間毎の成績の内プラスになった回数
- 平均年利…投資期間毎の成績の平均利益(AVERAGE(評価額/投資元本))の年間利率

結果は全て投資期間終了時点を使用しています。
積立投資のシミュレーションした結果を見ると、全ての指標で、投資期間が長くなればなるほど良い結果が得られたことがわかります。
が、
投資期間3年〜5年の間はマイナスになる回数が多く、どのタイミングで投資を始めたとしても投資期間5年程度であればマイナスになる可能性は高いと考えられます。
さらに投資期間15年であってもマイナスになる投資開始タイミングが10回ありました。
ちなみにその10回というのは全て、15年後にリーマンショックが訪れる1994年〜1995年開始頃の投資タイミングでした。
この期間に投資した場合は、ITバブルで半額近くになるわ、回復したかと思えば100年に一度と言われたリーマンショックに襲われるわでいやになりますね。
20年の長期積立投資ではマイナスになる期間はなし
続いて積立投資を20年継続した場合の結果を解説します。
投資期間 | 20年 |
最大年利 | 8.9% |
最小年利 | 0.3% |
マイナス回数 | 0回 |
プラス回数 | 365回 |
平均年利 | 5% |
積立投資を20年以上継続した場合であれば投資結果がマイナスになることはなくなりました。
投資期間が20年の場合は最小年利が0.3%となるタイミングがありますが、これも先ほどと同じように投資期間の最後にリーマンショックを受けた場合です。
ただ何れにしても投資期間が20年以上と長期の積み立て投資であれば、1970年以降どの年のどの月に投資を始めたとしても利益になったということです。
さらに実際はこの利益に配当金がプラスされるのでさらにパフォーマンスは向上します。
積立投資シミュレーション結果
- 5〜10年程度の積立投資では、損失になるタイミングはたくさんあった
- 20年間の積立投資では、損失になるタイミングは無かった
つみたてNisaで20年間投資したらデメリットはなくなる?
さてつみたてNisaを20年間継続したら、「つみたてNisaのデメリットは、終了時点で損失があると余分な税金がかかる」というデメリットは無くなるでしょうか。
これまでの結果をまとめてグラフで確認してみましょう。
投資期間が長くなるほど、利益率は0から10%の間に落ち着いていくのがみて取れます。
さらに投資期間が20年になると、マイナスになる期間が無くなりました。
この結果から、つみたてNisaで投資を長期間継続すればするほど、利益は大きくなり、損失になる可能性も小さくなると言えます。
投資において絶対はありませんが、1970年以降の結果を見る限り、「つみたてNisaで20年間投資を継続した場合、損失になることは無い」と言えそうです。
つみたてNisaの長期投資で、利益は大きくなり、リスクも小さくなる
まとめ
つみたてNisaのデメリット「非課税期間終了時で損失がある場合は余分な税金がかかる」について、1970年以降の値動きから検証しました。
20年間も投資をしていると暴落が何度か発生するでしょうが、投資終盤で暴落が起きない限り大きな利益になりそうなことも分かりました。
いずれにしても、つみたてNisaのデメリットについては、そんなにシビアに考える必要はなさそうです。
それよりも積立投資を継続し、利益を淡々と積み上げて行きましょう(╹◡╹)