
投資するならアクティブファンドよりもインデックスファンドの方が良いって聞くけどなんで?分かりやすく知りたいなぁ。
こんなお悩みにお答えします。
☑️本記事の内容
- インデックスファンド、アクティブファンドとは
- アクティブファンドがインデックスに勝てない理由3つ
- バフェット(BRKB)とインデックスの成績を比較
☑️本記事の執筆者

投資歴15年超のサラリーマン投資家です。
私のブログでは投資初心者・中級者の方々に向けて基礎知識を短期間で身に付けられるよう分かりやすくまとめてます。ぜひご覧ください!
世の中の投資信託は大きく分けると以下の2つに分類されます。
- インデックスファンド
- アクティブファンド
そして両者の成績は一般的に「インデックスファンド>アクティブファンド」と言われています。
ちなみに2021年2月末時点の人気度(投資信託の残高)でいうと「インデックスファンド(71兆円)≒アクティブファンド(74兆円)(出所;一般社団法人投資信託協会)」のようです。
今回の記事ではインデックスファンドとアクティブファンドの特徴と一般的にアクティブファンドがインデックスに勝てない理由を解説します。
そしてアクティブ型の代表格であるバフェット率いる「バークシャー・ハサウェイ」を例にインデックスと比較してみたいと思います。

この記事を読むといかに有能なファンドマネージャーがいてもインデックスファンドに勝つのが難しいと言うのが理解できるかと思います。
インデックスファンド、アクティブファンドとは
インデックスファンドとは
「インデックスファンド」とは「特定の指標(=インデックス)と同じ値動きするよう運用される投資信託(=ファンド)」のことです。
「インデックス」というのは日本では「指標」とか「市場平均」と言われ、日経平均株価が有名です。
アメリカだとニューヨークダウやS&P500などがあり、ニュースなどで聞いたことがあるのではないでしょうか。
それぞれのインデックスは含まれている銘柄と比率が公表されています。
例えばS&P500だとマイクロソフト4.3%、アップル4%・・・といった具合です。
なのでインデックスファンドは、対象とするインデックスと同じ銘柄・比率通りに投資すればいいだけなので、優秀なファンドマネージャーを雇う必要がなく、手数料が安く抑えられるという特徴があります。
アクティブファンドとは
一方アクティブファンドは、優秀なファンドマネージャーを雇って、インデックスの成績を越えようと独自のポートフォリオを組んで投資する投資信託のことです。
アクティブファンドは、その時々に美味しい(パフォーマンスがいい)と思われるものに投資するため、AIやSDGsなどその時代に注目されているものに特化したものや、株式以外にも債券やREITを含んだバランスファンドなど色々な種類があります。
アクティブファンドはインデックスと違ってファンドマネージャーを雇い、市場を調査したり、未来を予想して投資判断を行うため、インデックスに比べて手数料は高くなります。
そして過去の成績から一般的にアクティブファンドの方がインデックスファンドよりも成績が劣るという統計的な結果が出ています。
両者の特徴をまとめると以下のようになります。
- インデックスファンド…手数料が安く、成績≒市場平均
- アクティブファンド…手数料が高く、成績は市場平均より悪い傾向
アクティブファンドがインデックスに勝てない理由3つ
優秀なファンドマネージャーを雇って投資判断をしているアクティブファンドですが、なぜインデックスファンドに勝つことが難しいのでしょうか?
アクティブファンドがインデックスファンドに勝てない理由は以下の3つから説明できます。
- 信託報酬が高い
- 税金がかかる
- 平均回帰
アクティブファンドで人気のある「ひふみプラス」を例に使って解説します。
①信託報酬が高い
先程から言っているようにアクティブファンドは優秀なファンドマネージャーを雇い、この先利益が上がりそうな企業を探すために市場を調査したりする必要があります。
さらにアクティブファンドは利益の出るタイミングを狙って頻繁に売買するため、売買手数料もインデックスファンドより多くかかります。
そのためインデックスファンドではかからない余分なコストがかかり、信託報酬が高くなります。
最近のインデックスファンドでは0.1%程度の信託報酬も当たり前になってきましたが、アクティブファンドは1%〜2%程度の高い信託報酬のものが多いです。
以下はひふみプラス(アクティブ)とeMAXIS Slim S&P500(インデックス)の信託報酬の比較です。
項目 | ひふみプラス | eMAXIS Slim S&P500 |
信託報酬 | 1.078% | 0.0968% |
ということはアクティブファンドは最低でも余分に払った信託報酬分の成績を上乗せして利益を上げる必要があるということです。
投資で得られる利益は年平均で5〜7%程度と言われていますが、これに信託報酬の差1%近く上乗せするのは結構きついというのがわかるかと思います。
②税金がかかる
先程アクティブファンドは利益の出るタイミングを狙って頻繁に売買するため、売買手数料がインデックスファンドより多くかかると書きました。
実は売買を頻繁に行うことで手数料以外にも売却で得た利益に約20%の税金がかかります。
インデックスファンドは市場平均に連動させるだけなので基本的に売買は行いませんが、アクティブファンドの方は利益率を上げようとして売買すればするほど税金がかかるため、不利になります。
③平均回帰
最後は平均回帰というものです。
平均回帰というのは、ある期間インデックスよりも成績が良かったファンドは、その後インデックスと同じ成績に落ちてくるという相場の性質です。
平均回帰については過去の相場で統計的に確認されており、理由としては以下のようにいろいろと言われています。
- 優秀な成績を残したファンドマネージャーが途中で変わる
- ファンドの運用方針が変わった
- 成績がいいので資金が集まりすぎて、それまで通りの投資ができなくなった
例えば、ひふみプラスの成績で平均回帰を説明してみます。
設定来からひふみプラスの基準価額は大きく上昇し、9年間で基準価額は5倍になりました。
これはS&P500の成績を大きく超えています。
項目 | ひふみプラス | S&P500 |
年平均利益率 | 19.6% | 15.8% |
しかし、ひふみプラスが人気になった2018年あたりから大きく純資産が増え、投資対象も大きく変わって行きました。
以下の図はひふみプラスのポートフォリオの推移です。
青字で書いたように、ひふみプラスが得意としていた中小型・超小型株の比率は人気になった2018年辺りではポートフォリオに占める割合が50%まで減少しています。
これは運用資産が大きくなりすぎて、得意としていた中小型・超小型株の売買が難しくなり、方針変更を余儀なくされたためだと思います。
そしてここ最近の成績は実はあまり優れていません。
投資対象がS&P500が米国株、ひふみプラスが日本株がメインなので単純な比較は難しいですが、イメージとしてはさまざまな要因で結局はインデックスと同じような成績に落ち着いてくるといった感じです。

ひふみ投信の運用は日本株をメインでS&P500と同等以上の成績なので、本当に優秀だと思います。ただ手数料・税金・平均回帰的要素によって否が応でもパフォーマンスを下げられてしまうという感じですね。
それがアクティブファンドということかもしれませんが。
アクティブファンドがインデックスに勝てない理由
- ファンドマネージャー及び売買手数料により信託報酬が高くなる
- 売買を繰り返すため利益分の税金が差し引かれる
- 平均回帰(運用方針の変更、運用条件が変わってしまうなど)
バフェット(BRKB)とインデックスの成績を比較
続いてはアクティブファンドが本当にインデックスファンドに劣っているのか?というのを統計データで確認してみます。
次の図はウォール街のランダム・ウォーカーで使われているものです。
この図はS&P500とアクティブファンドの成績比較の分布グラフです。
赤枠部分がS&P500よりも1%以上成績が良かった投信の本数です。
ただ1970年当時358本あったアクティブファンドは274本なくなってしまっており、S&P500を超える成績を残したアクティブファンドはたったの5%(18本÷358本)だけでした。

有能なファンドマネージャーを雇ってインデックスの成績を超えるために作ったファンドの成績がこんなもんだと、なんとも悲しい成績です。
ではアクティブに運用するのがもっとも上手な投資の神様バフェット氏の成績はどうでしょうか。
バフェット氏の投資会社であるバークシャー・ハサウェイ(青色)とS&P500(黄色)の成績を長期チャート(1997年〜2021年)で比較してみます。
S&P500と比較しても2倍以上の差が出ています。
GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)などのハイテク株が伸びてきたここ10年ぐらいはどうでしょうか。
2011年から2021年のチャートでバークシャー・ハサウェイ(青色)とS&P500(黄色)を再度比較してみます。
大体同じ成績です。
コロナショック前まではバークシャーの方がいい成績でしたが、それ以降はS&P500の方が優勢になってきています。

この結果を見るとバフェット氏でさえ、アクティブファンドに勝ち続けるというのは簡単ではないというのが分かります。
まとめ
アクティブファンドがどうしてインデックスファンドに勝つことが難しいのかを解説しました。
そしてバフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイとS&P500を比較し、バフェット氏でさえインデックスファンドに勝ち続けるのが容易ではないことが分かりました。
ということは一般人であればインデックスファンドを選ぶのが無難だというのも分かります。
最後にバフェット氏が一般の投資家向けに送った言葉を紹介します。
私から管財人へのアドバイスはこれ以上ないほどシンプルです。「10%の現金で米国短期債を買い、残る90%の現金でS&P500に連動する非常に低コストのインデックスファンドを買う」のが良いと思います。
この方針で運用された信託財産の長期間のパフォーマンスは多くの投資家と比べて優れたものになるでしょう-例えば高いコストでファンドマネージャーを雇っている年金基金や運用機関などよりも、です。
※引用2013年のバークシャー・ハサウェイの「株主への手紙」