イールドカーブから景気の先行きを読み取ろう

イールドカーブ

わにゃん(@kuwanyan98)です。

投資に役立つ経済知識の第14弾は「イールドカーブから景気の先行きを読み取ろう」です。

 

金利には貸し付ける期間によって1年未満のものを短期金利、1年以上のものを長期金利と言います。

前回の記事では、金利の変動が経済や個人にどのような影響を与えるかを説明し、さらに短期金利と長期金利の特徴として以下の特徴があることを解説しました。

  • 短期金利…中央銀行(日本の場合は日本銀行=日銀)の政策金利の影響を強く受ける
  • 長期金利…将来の短期金利の動向や、景気、物価など市場参加者の予想による影響を強く受ける

✅関連記事;金利についてわかりやすく解説〜金利が変動する原因、長期金利と短期金利〜 

 

今回の記事では、期間の異なる債券の利回り(金利)をグラフにしたイールドカーブについて解説します。

過去30年間の実績では、景気後退の先行指標と言われる逆イールドが発生したあと1年〜2年後に株式の暴落が起きました。

投資に役立つ知識として、逆イールドが出た際の投資戦略と逆イールドの発生原因を分かりやすく解説したいと思います。

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順イールドカーブと逆イールドカーブ

イールドカーブは利回り曲線ともいい、横軸に債券の期間、縦軸に利回り(金利)をプロットして結んだグラフのことです。

イールドカーブは将来の景気や物価の動向、金融政策の影響を受けて変化します。

市場参加者はイールドカーブの形状を見ることによって、将来の金利をどのように予測しているのかを確認することができ、その形状によって大きく以下の3つのパターンに分類されます。

  • 順イールド…将来の金利上昇を予測
  • 逆イールド…将来の金利下落を予測
  • フラットイールド…将来金利が横ばいと予測

イールドカーブ

順イールドカーブは市場参加者が将来金利が上昇すると予測している状況です。

これをグラフで描くと以下のようになります。

順イールド

債券の金利というのは、一般的に貸し付ける期間が短いほど金利は安くなります。

くわ
くわ

これは住宅ローンで考えると分かりやすく、銀行側としては貸し付ける期間を短期で変動できる変動金利は安く、長期間金利を固定する必要がある固定金利の方が金利は高くなりますね。

なので長短金利の関係としては通常は順イールドカーブとなります。

 

順イールドカーブでは「短期金利<長期金利」となっています。

前回の記事で説明した通り、短期金利が安いということは政策金利も安いということであり、お金を借りても利払い負担が少ないため民間企業が資金を調達しやすく、設備投資などを活発に行う景気のいい状況です。

逆イールドカーブ

逆イールドカーブというのは言葉の通り、順イールドカーブと逆の状況で、将来の金利が下がると予測されている状況です。

グラフで描くと以下のようになります。

逆イールドカーブは順イールドカーブとちょうど反対の形で「短期金利>長期金利」になっているのがわかります。

 

この状況は好調な景気がバブル化する(景気が加速しすぎる)のを防ぐために、短期金利に影響を与える政策金利を高くした状況です。

短期金利が高くなると企業は金利負担が大きくなるために、銀行などから資金を借りて設備投資をするというのを控え、景気にストップがかかります。

ちょうど今のアメリカが2015年末から政策金利を上げてきた状況が該当します。

フラットイールド

フラットイールドというのは文字通り将来にわたって金利が横ばいになると予想している状況です。

フラットイールド

フラットイールドはこれまで解説した順イールドから逆イールドへイールドカーブが変化する途中で現れる現象です。

実際には長短金利の変動により、イールドカーブは順イールドと逆イールドを行ったり来たりする感じです。

イールドカーブ

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逆イールド発生を投資に役立てる

ここまでイールドカーブを3つのパターンで説明してきましたが、投資家にとって注目すべきは、逆イールドの状況です。

なぜなら逆イールドが発生した際には、その後1年から2年後に景気後退期が訪れているからです。

逆イールドと株式の関係

まずは1990年以降の10年米国債と2年米国債の利回りの推移をグラフ化します。

米国債利回りの推移

このグラフの10年米国債利回り<2年米国債利回りとなるポイントが逆イールドとなった個所です。

 

続いて10年米国債利回りと2年米国債利回りの差から逆イールドとなったポイントと米国株の代表指数であるS&P500の結果を重ねてみます。

逆イールドと株価の関係

○印が逆イールドとなったポイントで、過去30年間で4回逆イールドが発生しましたが、4回のうち3回は1年~2年以内にグレーで塗った景気後退期が訪れており、2019年8月に発生した逆イールドはこれから結果が現れるというところです。

 

【過去30年間の逆イールドと景気後退の関係】

逆イールド発生月 景気後退期間 景気後退の原因
1988年12月 1990年7月以降8ヶ月 不明
2000年2月 2001年3月以降8ヶ月 ITバブル崩壊
2005年12月 2007年12月以降18ヶ月 世界金融危機
2019年8月 未定 未定

逆イールドが発生すると必ず景気後退期になると断定はできないものの、今後1、2年以内に景気後退期に突入する可能性が高いというのが分かります。

逆イールドカーブになったらどうする?

では逆イールドが発生した場合、投資家としてはどうすればいいでしょうか?

私が行っている積立投資の場合を例に考えてみます。

  • 戦略1;何もせず通常通り積立投資を継続する
  • 戦略2;資産の一部を売却し、キャッシュポジションを多くする
  • 戦略3;追加投資を少なくし、キャッシュポジションを多くする

戦略1;何もしない

まず戦略1は逆イールドが発生しようが長期的な値上がりを期待して、積立投資を継続するというものです。

私個人的には相場に一喜一憂しなくていいのでお勧めの戦略です。

逆イールドがどうとか悩まなくていいので、一番お気楽な方法です。

戦略2;資産の一部を売却

続いて戦略2は資産の一部を売却し、暴落時に備えてキャッシュポジションを多くするというものです。

これはうまくいけば一番理想的な方法ですが、どれぐらいの資産を現金に換えるのかを決めるのはなかなか難しいですね。

逆イールドが発生してもそのまま上昇してしまえば、増えるはずだった含み益が少なくなってしまうのと、利益確定による税金分だけパフォーマンスが下がってしまいます。

これはなかなか難しい戦略です。

戦略3;積み立て金額を少なくする

続いて戦略3は毎月の積立金額を少なくして、キャッシュポジションを多くするというものです。

この戦略は逆イールドが発生してから1年程度現金比率を多くできるので、仮にそのあと暴落したときにたくさん株式を買うことができると生涯収益を向上させることができます。

 

以上3つの戦略を書きましたが、個人的には戦略1の何もしないを選択します。

何もしない代わりに、逆イールドが発生した場合は自分の投資に使えるキャッシュポジションを確認し、いざ暴落したときに何をどれぐらい買うかは決めておきたいところです。

そうすると暴落時にあたふたすることなく、冷静に追加投資をすることができます。

 

こんな感じで逆イールドの発生は、暴落を想定した心の準備をするタイミングととらえるのもいいのかなと思ってます。

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逆イールドカーブが発生する理由を考える

通常は「短期金利<長期金利」となる順イールドとなると解説しました。

これは貸す側から考えると、資金回収までの期間が長ければ長いほど資金が回収できないリスクが高くなるため、そのリスクに見合った高い金利を求めるため、長期金利の方が金利が高くなるのは当然ですね。

 

と考えると逆イールドはリスクが少ない短期金利の方が金利が高くなる異常事態です。

ここではなぜ逆イールドとなるのか解説します。

 

まずこの記事の冒頭で、短期金利と長期金利の特徴を

  • 短期金利…中央銀行(日本の場合は日本銀行=日銀)の政策金利の影響を強く受ける
  • 長期金利…将来の短期金利の動向や、景気、物価など市場参加者の予想による影響を強く受ける

だと書きました。

ということは長期金利が小さくなる逆イールド現象は市場参加者の多くが将来の景気悪化を予想しているということです。

予想するだけでは金利は下がらないので、実際の金利の動きを以下の4つの景気循環サイクルと合わせて考えてみます。

回復期

不景気から景気が回復し始めたときは、まだ政策金利(短期金利)は小さく民間企業が銀行からお金を借りて徐々に投資を始めたときです。

この時は長期金利も短期金利も低く抑えられています。

好況期

景気が拡大している状況では、投資をすればするほど企業は利益がどんどん上がるので銀行からさらにたくさんのお金を借りて投資を積極的に行います。

このころからバブルを警戒し、政府は緩やかに政策金利(短期金利)を上げていきます。

この時は将来の景気予測から長期金利は高くなり、短期金利が徐々に上がり始めた時です。

後退期

景気絶頂期を過ぎると市場参加者はそろそろ景気が後退することを見込み始めます。

この時積極的に株式投資をしていた市場参加者は徐々に安全資産である長期の国債を買うようになります。

長期国債が売れると価格が跳ね上がっていくので、長期国債の利回り(長期金利)は下がってきます。

 

政府がバブルを避けようと徐々に大きくした政策金利(短期金利)と長期国債の利回り(長期金利)はやがて逆転し、逆イールドが発生する流れとなります。

 

この状況では株式などの投資先がボコボコにやられており、利回りが少なくてもいいからとにかく長期で安定する長期国債に人気が集中している状況ですね。

不況期

不況期になると政府は公共工事を行ったり、政策金利を下げて民間企業に設備投資を促したりして景気を刺激し、徐々に景気が持ち直し、再度<景気回復期>のサイクルに入っていきます。

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まとめ

イールドカーブの解説から逆イールドの使い方や発生原因をまとめました。

 

景気が悪くなるから逆イールドが発生するのか、逆イールドが発生するから景気が悪くなるのかどっちが先か微妙なところですが、いずれにしても逆イールドが発生すると景気後退の可能性ありとみるのがいいですね。

 

そして景気後退に備えて自分の投資戦略を見直すいい機会であることは間違いありません。

 

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