
プロはポートフォリオに債券をどれぐらいの比率で入れているの?債券に投資する意味は?
こんなお悩みにお答えします。
☑️本記事の内容
- 債券投資について解説
- プロのポートフォリオの債券比率
- 黄金ポートフォリオと守りを重視した投資の重要性
☑️本記事の執筆者

投資歴15年超のサラリーマン投資家です。
私のブログでは投資初心者・中級者の方々に向けて基礎知識を短期間で身に付けられるよう分かりやすくまとめてます。ぜひご覧ください!
債券投資と聞くとどんなイメージでしょうか?
私のイメージは、つまらない、儲からない、必要ない。。。
といったイメージでした。
しかし投資金額がだんだんと大きくなると自分のポートフォリオの変動率も大きくなり、債券投資の意味合いが分かってきました。
今回の記事では債券投資の説明からプロが運用するポートフォリオの債券投資の割合を解説します。
また世界最大のヘッジファンドを率いるレイ・ダリオ氏が個人投資家にすすめる黄金ポートフォリオの紹介と守りを重視した投資の重要性を解説します。

債券投資はつまらないものですが、長期間投資を続けるためには重要になってきますのでじっくりと読んでみてください。
債券投資の特徴
債券というのは国や地方公共団体、企業などが一般の投資家からお金を借りる目的で発行するのもで、返還期限がきたら利子をつけて投資家に返すというものです。
債券という商品の特性上、株式投資などと比べて比較的安定的な運用が可能です。
債券自体は利益が約束されている商品ですが、実際には債券の満期になるのを待たずに市場で取引されます。
債券の特徴としては、株式のパフォーマンスが悪いと相対的に利回りがよくなる債券が買われるという傾向があるため、債券価格は上昇する傾向があります。
ちなみに債券が買われると債券の価格は高くなり、利回りは低下します。
以下の図で債券の価格変動によって利回りが変わる仕組みが分かります。

図にあるようにもらえる金額は同じですが、債券価格の上昇により利回りが低下します。
そして債券は株式と比べると緩やかな値動きです。
以下のチャートは米国のS&P500(株式)と先進国債券の比較です。
このチャートのように債券は緩やかな値動きであるため、債券に一定比率投資するとポートフォリオ全体の値動きも緩やかになります。
例えば債券を30%ポートフォリオに入れた場合、ポートフォリオの値動きがどうなるのか見てみます。
このグラフの赤丸で囲った部分のように債券を含んだポートフォリオ(緑色)の方が暴落時の下落幅が小さいのが分かります。
債券をポートフォリオに入れると値動きは緩やかになるものの、債券比率を大きくしすぎるとポートフォリオ全体の成績も下がってしまうというトレードオフの関係にあることは忘れてはいけません。
以上が債券投資の意味です。
債券投資の特徴
- 債券は値動きが小さい
- ポートフォリオの動きが緩やかになる
- 債券比率を大きくすると成績は下がる
プロのポートフォリオの債券比率を知る
続いてプロのポートフォリオにどれぐらいの債券が含まれているのか紹介します。
今回紹介するのは、安定運用が求められる年金基金のポートフォリオを紹介します。
GPIFのポートフォリオ
まずは私たち日本人の年金168兆円もの巨額の金額を管理する年金積立金管理運用独立行政法人(通称GPIF)が運用する資産状況からです。
以下の図は2020年12月末のGPIFのポートフォリオです。
引用;GPIF HP
内側の割合が目標としているもので、外側が実績です。
2020年末の実績ベースでは以下のようになっています。
- 国内債券24%
- 外国債券26%
- 国内株式25%
- 外国株式25%
ざっくり株式50%:債券50%というポートフォリオで、債券が半分含まれているので結構守りのポートフォリオであることが分かります。
GPIFの約20年間の投資実績は以下の図のように3.37%でした。
引用;GPIF HP
債券が半数近く占めるポートフォリオで3.37%ならそこそこいい成績ですね。
世界の年金基金のポートフォリオ
続いて世界の年金基金のポートフォリオ(2020年3月末)を覗いてみます。
略称 | 名称 | 運用資産 |
CalPERS | カリフォルニア州職員退職年金基金 | 38兆円 |
CPPIB | カナダ年金制度投資委員会 | 31兆円 |
GPF-G | ノルウェー政府年金基金-グローバル | 125兆円 |
GPIF | 日本年金積立金管理運用独立行政法人 | 151兆円 |
これらの年金基金が運用するポートフォリオは以下の通りです。
引用;GPIF HP
いずれの基金も債券をポートフォリオに含んでおり、概ね30〜50%と言ったところです。
そして実績は以下の通りです。
引用;GPIF HP
このグラフを見ると世界金融危機(リーマンショック)が起きた2007年〜2008年以外は0%〜20%程度で成績が安定しています。
またリーマンショック時の株式の下落率が50%であったことを考えると、債券を含んだ基金のポートフォリオでは最大30%の下落にとどまっているので、債券を含んだ効果が出ているのが分かります。
プロのポートフォリオ
- 債券比率は15%〜50%程度
- 運用成績は年率5%〜10%程度
黄金ポートフォリオと守りを重視した投資の重要性
続いてはヘッジファンド世界最大手ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者レイ・ダリオ氏が個人投資家にすすめるポートフォリオを紹介します。
世界最大手のヘッジファンドということは、世界中から資金を集めているということで、それだけ成績がいいということです。

そんなレイ・ダリオ氏が個人投資家にすすめるポートフォリオはさぞかしハイリスク・ハイリターンなものだと思いませんか?
一般の投資家が売買できる商品を考慮して、レイ・ダリオ氏が個人投資家にすすめるポートフォリオは以下の内容です。
- 米国株式(S&P500か他のインデックスファンド)・・・30%
- 米国中期債(7~10年満期)・・・15%
- 米国長期債(20〜25年満期)・・・40%
- 金・・・7.5%
- 商品・・・7.5%
このポートフォリオでは55%も債券が含まれています。
その理由は「個人投資家は自分が思っているほどリスクに対して強く無い」という考えから来ているようです。
この黄金ポートフォリオとS&P500の成績を比較してみます。
ここ最近は米国の金融緩和の影響で債券が下がり株式が上昇しているので、黄金ポートフォリオはS&P500に引き離されていますが、それまでは黄金ポートフォリオの方がいい成績です。
リーマンショック時(2008年)やコロナショック時(2020年)などの株式暴落時に黄金ポートフォリオは特に強い効果を発揮するのが分かります。
私の実体験としては2020年に債券をポートフォリオに入れ始めてから数ヶ月でコロナショックが起き、自分のポートフォリオの資産が30%以上も下落するという事態を目の当たりにしました。
投資額がまだ1000万円にも満たない中での下落はなんとか耐えることができました。
しかしこれが株式だけのポートフォリオで投資額3000万円以上だと-1000万円規模の損失となることを想像すると、やはり一定規模は債券への比率を考えた方がいいなと再確認した次第です。
私を含め個人投資家の中には暴落局面を経験したことがない方も多く、自分のリスク許容度というものを理解していません。
この先の投資人生において数回は訪れるであろう暴落局面を乗り切って長期間投資を継続するために、守りを重視した投資が重要だと思います。
まとめ
債券投資の特徴とプロのポートフォリオを紹介し、黄金ポートフォリオから守りを重視した投資の重要性を解説しました。
守りを重視して投資することのもう一ついいところは、利益第一では無くなるため「他人と比べたり」「もっともっと利益が欲しい」という欲を抑えられるというところです。
この先もまったりと守りを重視した投資を継続していきましょう。