国全体のお金のやり取りが分かる経常収支について解説

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経常収支ってなんなの?

こんなお悩みにお答えします。

☑️本記事の内容

  • 経常収支は国全体のお金のやり取りを表す
  • 経常収支の内訳(貿易収支・サービス収支・所得収支)を解説

☑️本記事の執筆者

くわ

投資歴15年超のサラリーマン投資家です。

私のブログでは投資初心者・中級者の方々に向けて基礎知識を短期間で身に付けられるよう分かりやすくまとめてます。ぜひご覧ください!

今回の記事では国全体のお金のやり取りが分かる経常収支とその内訳(貿易収支・サービス収支・所得収支)について解説します。

経常収支というのは我々の生活に直接的には全く関係ありません^^

 

が、日本が置かれている現状やこの先の世の中を見通す時の基礎知識としてご活用ください。

国全体のお金のやり取りが分かる経常収支

経常収支と聞くと難しそうですが、わかりやすく日本の場合を例にとって解説します。

経常収支・・・海外との商品やサービスのやり取りを通じて日本に入ってきた”お金の収支”のこと

収支と聞くと難しいですが、要は経常収支が黒字ということは、日本の企業全体として物を売ったり、海外進出して利益を上げたりする経済活動を通じて日本がお金を儲けた状況です

逆に経常収支が赤字ということは、全体の取引でお金が減ってしまった状況です。

 

経常収支は、以下の4つから成り立ちます。

これら経常収支を構成する4つの内訳を2016年の日本のデータを元にグラフで確認してみます。

このグラフの中で一番右端の「資本移転等収支」は発展途上国への食料などの無償援助の収支で、微々たるものなので無視してもいいものです。

よって日本の場合の経常収支は、「貿易収支」、「サービス収支」、「所得収支」について理解していればOKです。

貿易収支とは

貿易収支というのは、海外との「商品の取引」についての儲けを表します。

貿易収支=(輸出額)ー(輸入額)
貿易黒字・・・貿易収支がプラス
貿易赤字・・・貿易収支がマイナス

トランプ大統領がアメリカが貿易赤字が大きいことに対して怒っていますが、赤字と言っても単に安い海外から商品をたくさん買ったというだけです。

全く同じ商品を考えた場合、一人当たりの労働賃金の安い中国と労働賃金の高いアメリカ人が作った商品では、中国で作った商品の方が安くなるのは当たり前です。

ところがこの状況を是正するためにトランプ大統領は中国で作った安い商品に関税をかけて価格を高くして売れにくい状況を作ろうとしているわけです。

くわ

自国の雇用を守るためにやっているとはいえ、なんか変ですよね。

アメリカは世界最大の貿易赤字国なので仕方ないかもしれませんが。

続いて日本の貿易収支の推移を財務省のHPのデータを元にグラフ化してみます。

このグラフをいると1998年あたりから右肩下がりになっています。

私が小・中学生の頃は日本は輸出大国だと習いましたが、今や日本は輸出大国ではありません

グラフをみると2011年から2015年まではマイナス(貿易赤字国)になっているほどです。

くわ

日本が貿易赤字国と聞くとちょっとびっくりしますよね。

これについては以下の所得収支のところで説明します。

サービス収支とは

先ほどの貿易収支のところでは「商品の取引」と書きましたが、サービス収支というのは「サービスの取引」のことです。

にゃん

わけわから・・・

「サービスの取引」というのは商品の取引ではないもの、例えば海外でホテルに泊まった時の宿泊料などが該当します。

要は何か商品を買うための取引ではなくて、目に見えないサービスの購入のためにお金を使う場合です。

サービス収支=(国内で売り上げたサービス)ー(海外で支払ったサービス)

日本のサービス収支のグラフです。

グラフをみてわかるように日本の場合はサービス収支は赤字です。

ということは外国人が日本でお金を使う量より、海外で日本人がお金を使う方が多いということです。

ただ近年の訪日外国人観光客の急増のニュースにもあるように日本のサービス収支の赤字額はかなり減ってきています。

所得収支とは

さきほど日本の貿易黒字が減少していると書きました。

原因は日本の産業構造に変化があったためで、ここで説明する所得収支の推移をみると理解できます。

所得収支・・・日本の企業が海外に拠点をつくって稼いだお金(直接投資収益)や海外の株式を購入して受け取った株式配当や債権利子などで得たお金(証券投資収益)の収支

備考

所得収支に占める直接投資収益の割合は2000年代初めは、所得収支の20%程度で推移していたものが、2017年には約50%にまでなっています。

今や所得収支が日本の経常収支の稼ぎ頭となっています。

 

このように産業構造が変化した流れは以下の図の通りです。

左側が昔の状況で、右側が現在の状況です。

昔の状況を説明すると、輸出で稼げば稼ぐほど貿易収支が増大し、円が買われるため円高になり、円高になると日本の輸出企業はそれまでどおり稼ぐのが難しくなりました。

そして現在の状況ですが、日本の企業は海外に生産拠点を移し、為替の影響を受けなくてさらに労働力の安い海外で生産し、外貨(ドルなど)を稼いで安定した利益を確保するようになります。

この流れが所得収支の増大に繋がったわけです。

 

日本の所得収支の推移をグラフ化しました。

2000年あたりから所得収支が大きく増えているのがわかります。

そしてこれまで説明した、経常収支・貿易収支・サービス収支・貿易収支をグラフで表示します。

貿易収支(青色)が右肩下がりで減少しているのに対して、所得収支(ピンク)がそれを穴埋めする形で増えているのがわかります。

先ほど説明した昔は国内で生産し輸出の拡大に伴う貿易黒字の拡大、今は海外生産による所得収支の拡大の流れです。

このように日本の産業構造自体が変わってきています。

 

日本の場合は経常収支が黒字なので、日本全体としてお金を稼いでいる状況です。

稼いだ外貨は日本円に変換される(つまり日本円が買われるということ)ので、円高に進みやすいのがわかります。

こんな感じで経常収支が為替に影響を及ぼすわけです。

くわ

ようやく経常収支と為替が結びつきました。

経常黒字=日本全体が豊かになっているということは、個人でも今のうちに投資を開始して早く資本家となることで、この恩恵を受けられると思うのですが、いかがでしょうか。

まとめ

国全体のお金のやり取りを表す経常収支とその内訳(貿易収支・サービス収支・所得収支)についてまとめました。

私にとっては、日本が貿易大国ではなくなっているというのは驚きです。

今の子供たちは授業でどういうふうに教わっているのでしょうか。

 

こういった流れは先進国では当たり前に起こることなので、セオリー通りといえばセオリー通りです。

詳しくは次の記事を参考にしてください。

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