
外国為替市場ってどういうもの?
こんなお悩みにお答えします。
☑️本記事の内容
- 外国為替市場はインターバンク市場と対顧客市場の2つ
- 市場の大きさと通貨別の取引シェア
- 外国為替市場の取引できる時間
☑️本記事の執筆者

投資歴15年超のサラリーマン投資家です。
私のブログでは投資初心者・中級者の方々に向けて基礎知識を短期間で身に付けられるよう分かりやすくまとめてます。ぜひご覧ください!
FXが登場してから為替取引というのは株式のように一般の人にも身近に取引できるものになりました。
ただ外国為替市場といってもなかなかどういうものなのかイメージしにくいかと思います。
今回の記事では外国為替市場の解説と国ごとの市場の大きさと世界で取引されている通貨の取引シェアなどを解説します。

FXで取引される方は参考にしてみてください。
外国為替市場とは
外国為替市場とは、米ドル・ユーロ・日本円・ポンドなど様々な通貨が売買される場所です。
市場といっても物理的な市場があるわけではなく、電話やインターネットを介して取引が行われます。
外国為替市場は参加者のカテゴリごとに大きく2つに分けられ、インターバンク市場と対顧客市場があります。
インターバンク市場
インターバンク市場とは銀行間取引のことです。
実際は銀行の他にも証券会社や外為ブローカー、中央銀行(日本の場合は日銀)などが参加します。
インターバンク市場には個人や輸出入業者が直接参加することができず、取引される売買単位は最低でも100万通貨単位(100万ドル)以上です。
110円/ドルだとすると最低でも1億1000万円が最低単位です。
外為ブローカーの役割
インターバンク市場における外為ブローカーの役割について説明します。
例としてA自動車が海外で自動車を売って10億ドルを売上としてもらったとして、国内の部品メーカーに日本円で部品代を支払う必要が生じました。
ところがA自動車は大量のドルは受け取ったものの、ドルを円に両替して部品メーカーに支払う必要があります。
A自動車としては自分で10億ドルを日本円に両替してくれる銀行を探せるわけもなく、B銀行に依頼して両替してもらう必要があります。
しかし10億ドルなんていう大金を1つの銀行が両替できるわけもなく、B銀行は複数の銀行をインターバンク市場で探して両替を依頼する必要がありますが、それには膨大な手間と時間がかかってしまいます。
そこで出てくるのが外為ブローカーです。
外為ブローカーは複数の銀行から同じような注文をたくさん受け取り、B銀行の条件に取引相手を探し取引の手助けを行います。
そしてめでたくA自動車は外為ブローカーを通してインターバンク市場で10億ドルを1ドル112円で売ってもらい、円を獲得することができました。
こんな感じでインターバンク市場では日々膨大な量の通貨の取引が行われています。
中央銀行の為替操作=市場介入
ちなみに中央銀行がインターバンク市場で自国の通貨防衛のために大量に自国通貨「買い」又は「売り」の操作をすることがあります。
これを市場介入と言います。
日本の場合だと中央銀行である日銀が独自判断して市場介入を行うわけではなく、政府が財務省の権限で日銀に指示を出して行います。
日本は輸出産業で成り立っており日本の経済を守るために、行き過ぎた円高を阻止する理由で日本円を売る円売り介入が行われます。
2001年〜2018年までの日銀が行なった市場介入の実績をまとめてみました。
年 | 介入規模(億円) | 売買通貨 | 理由 |
2001 | 3兆2107億円 | ユーロとドル買・円売 | 米国同時多発テロ後の円高阻止 |
2002 | 4兆162億円 | ユーロとドル買・円売 | 急激な円高の是正 |
2003 | 20兆4250億円 | ユーロとドル買・円売 | イラク情勢不安による円高阻止 |
2004 | 14兆8313億円 | ドル買・円売 | イラク情勢不安による円高阻止 |
2010 | 2兆1249億円 | ドル買・円売 | 欧州金融不安による円高阻止 |
2011 | 14兆2971億円 | ドル買・円売 | 欧米不安による史上最高の円高阻止 |
データ元;財務省HP
この表を見ると特に2003年〜2004年にかけて行われた市場介入規模は35兆円!!!
ものすごい規模ですね。
参考にドル円の長期チャートを確認してみます。
image:yahoo finance
日銀のだいたいの市場介入時期を赤丸で描きましたが、その後の為替の動きを見る限り一定の効果がみられます。
日銀は円売り介入なので、長期で見ると円安(チャートの上昇)方向に動いているのがわかりますね。

これまで市場介入後に実際のチャートを見ていると、瞬時に急上昇しても数日で元に戻るパターンを何度かみていたので、あまり意味がないと思ってました。
長期チャートで見ると市場介入の効果がありそうですね。
対顧客取引
対顧客市場とは、銀行と顧客が取引を行う市場のことを言います。
具体的な取引としては、外貨預金や通貨の交換(両替)などがあります。
インターバンク市場の為替レートは常に変動しているのに対して、対顧客市場では通常1日1回「公示レート」という固定レートを元に取引が行われます。
銀行で通貨の両替をしたことがある方なら分かるかと思いますが、買値と売値の差は手数料なども含めて考えると、1ドルあたり2円くらいのコストが発生してしまいます。
FXの登場
インターバンク市場は銀行同士が取引できる市場であり、個人投資家がインターバンク市場で取引をするこことはできません。
なので昔であれば個人投資家は銀行と個人で取引する対顧客市場で取引するしかありませんでした。
するとさっき説明したように売値と買値で1ドルあたり2円ほどの為替コストが発生していました。
そこでインターネットの急速な技術の進歩を利用して、インターバンク市場と個人投資家をつなぐ業者を間に挟むことにより生まれたのがFX(下図の赤枠部分)です。
FXであれば先ほどの為替コストは0.3銭ほどで、先ほどの対顧客市場の1/666のコストで取引が可能です。
1998年からFXは始まりましたが、個人がインターバンク市場とほぼ同じ為替レートで、瞬時に低コストで取引できるFXは画期的なシステムなわけです。

今は個人投資家が当たり前のように使っているFXですが、個人がインターバンク市場とほぼ同じレートかつ圧倒的な低コストで取引ができることを考えるとすごいことですね。
市場の大きさと通貨別の取引シェア
国別市場規模
国別の取引市場規模をまとめてみました。
順位 | 国 | 取引額 | シェア |
1 | イギリス | 2兆4260億ドル | 37.1% |
2 | アメリカ | 1兆2720億ドル | 19.4% |
3 | シンガポール | 5170億ドル | 7.9% |
4 | 香港 | 4370億ドル | 6.7% |
5 | 日本 | 3990億ドル | 6.1% |
6 | フランス | 1810億ドル | 2.8% |
7 | スイス | 1560億ドル | 2.4% |
8 | オーストラリア | 1350億ドル | 2.1% |
9 | ドイツ | 1160億ドル | 1.8% |
10 | デンマーク | 1010億ドル | 1.5% |
参考;国際決済銀行
ダントツの1位は金融都市ロンドンを抱えるイギリスです。
ロンドンはニューヨーク、香港と並ぶ世界金融センターの一つです。
英ポンドは米ドルの前までは世界の基軸通貨であり、こういった歴史的な背景もあり、ロンドンは世界で最も理想的に組織された金融市場と言われています。
取引通貨量
続いて通貨別の取引通貨量です。
順位 | 国 | シェア |
1 | アメリカドル | 87.6% |
2 | ユーロ | 31.3% |
3 | 日本円 | 21.6% |
4 | 英ポンド | 12.8% |
5 | 豪ドル | 6.9% |
6 | カナダドル | 5.1% |
7 | スイスフラン | 4.8% |
8 | 人民元 | 4.0% |
9 | スウェーデンクローナ | 2.2% |
10 | メキシコペソ | 2.2% |
参考;国際決済銀行
シェアの欄は、米ドルであればEUR/USD、USD/JPYなどUSDが含まれるシェアの合計なため、全体では100%を超えた数字となっています。
シェア一覧を見ると世界の基軸通貨である米ドルがダントツです。
色々な問題を抱えるユーロはなんだかんだ言っても世界2位の取引量です。
また日本円も意外と取引されているのがみて取れます。

そしてメキシコペソが10位にランクインしているのも驚きです。
外国為替市場の取引可能時間
外国為替市場は、朝4時(日本時間)から日付変更線に最も近いウェリントン(ニュージーランド)で取引が始まります。
その後9時から東京、続いてシンガポールも取引に参加するようになります。
17時からはロンドンや他のヨーロッパの取引が始まり、最後に22時からニューヨーク市場がはじまり、翌朝5時頃まで取引されます。
そして再びウェリントンにバトンタッチされます。
こんな感じで常にどこかの市場で取引が可能なことから、月曜日の朝から土曜日の朝方6時ごろまでノンストップで24時間取引が可能です。
まとめ
外国為替市場についてまとめました。
FXを使うと個人でも簡単に低コストで外国為替市場にアクセスすることができるようになったので良い世の中ですね。
為替の変動は海外の株式に投資している方にとっては資産額の増減に関わるところですので、基本知識を押さえておくと良いと思います。
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