
楽天VT(投資信託)とVT(ETF)ってなにが違うの?
どっちに投資するのがどれぐらいお得なんだろう?
こんなお悩みにお答えします。
☑️本記事の内容
- 投資信託とETFの違いを解説
- 楽天VT(投資信託)とVT(ETF)の想定利益を比較
- 手間がかかってもETFに投資する理由
☑️本記事の執筆者

投資歴15年超のサラリーマン投資家です。
私のブログでは投資初心者・中級者の方々に向けて基礎知識を短期間で身に付けられるよう分かりやすくまとめてます。ぜひご覧ください!
投資についての知識がついてくると、投資信託以外にも手数料の安いETFという商品があることに気づくと思います。
そうなると気になってくるのが、運用手数料の低いETFと投資信託ではどれぐらい運用利回りが違うのかということです。
今回の記事では、はじめに投資信託とETFの違いを解説します。
次に楽天証券の楽天VT(投資信託)とバンガード社のVT(ETF)に20年間投資した場合をシミュレーションし、どれぐらい運用利回りが違ってくるのかを比較します。
これらの商品は投資している対象は全世界株式で全く同じですが、投資信託とETFという種類の違いによってパフォーマンスが異なります。

この記事では一般的に言われる「ETFは手数料が安くてお得」というのが、配当金にかかる税金を考慮すると間違っていることが分かります。
手数料が高く、手間がかかる海外ETFですが、それでも私がETFに投資する理由を解説します。
投資信託とETFの違い
投資信託とETFの違い
投資信託とは、多くの投資家から集めたお金を元に投資のプロが株や債券などに投資・運用し、その利益をいただくという金融商品です。
投資信託の原型は19世紀のイギリスで作られ、日本では1950年ごろから販売されるようになりましたのでかなり歴史があります。
投資信託は、お金を集めて運用する仕組みから、ファンドと呼ばれることもあります。
一方、ETFはExchange Trade Fundの略で上場投資信託とも呼ばれ、1990年に世界初のETFが誕生しました。
名前に「上場」とついていることからも推測できるように、株式と同じように取引できるのが最大の特徴です。
投資信託とETFの違いを以下にまとめます。
項目 | 投資信託 | ETF |
取引回数 | 1日1回 | 取引時間内は何度でも |
取引価格 | 基準価額 | 市場価格 |
購入手数料 | なし | あり |
運用手数料 | 高い(信託報酬) | 低い(経費率) |
分配金再投資 | できる | できない |
投資単位 | 1円から | 1口から(高い) |
表の中で投資家にとってメリットとなる部分を太字で表記しました。
ETFの分配金再投資ができないというのは投資信託のように税金がかからずに分配金を再投資するのではなく、分配金が発生するたびに税金を払う必要があるということです。

投資の手軽さから考えると投資信託が優れていると思います。
楽天VT(投資信託)とVT(ETF)の違い
続いて楽天証券が販売する楽天VT(投資信託)とバンガード社が販売するVT(ETF)について解説します。
まずVT(ETF)というのは米国のバンガード社が運用する「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」のことで、VT1本に投資するだけで新興国から先進国まで世界中の株式市場への投資が出来るという優れものです。
以下にVT(ETF)の投資エリアの割合と上位10銘柄を掲載します。
さらに2021年3月時点で信託報酬が0.08%と激安で全世界で2.8兆円も買われている人気のあるETFです。
そして楽天VT(投資信託)というのはこのVT(ETF)をひたすら買い続ける投資信託で、なんと100円から取引できるという商品です。
楽天VT(投資信託)はVT(ETF)を買って運用することからETFを購入する手間やファンドとして管理する手数料が上乗せされるため、当然ながらVT(ETF)よりは手数料が高くなります。
また楽天VT(投資信託)のもう一つの大きな特徴として、今のところファンドとして無分配の方針なので、本来分配金にかかる日本の税金20.315%がかからずファンド内で再投資されます(米国の税金10%はかかります)。

無分配で税金がかからず再投資可能というのはかなりのメリットです。
この後のシミュレーションにも大きく効いてきます。
楽天VT VS VTのシミュレーション条件
今回シミュレーションを行うにあたり以下の条件としました。
項目 | 楽天VT(投資信託) |
VT(ETF) | 備考 |
積立金額 | 50,000円 | 50,000円 | ー |
利益率 | 5% | 5% | 毎年影響 |
購入手数料 | ー | 0.45% | 購入時のみ |
ドル転手数料 | ー | 0.08% | 購入時のみ |
運用手数料 | 0.261% | 0.08% | 毎年影響 |
配当金(税引き後) | 1.8% | 1.59% | 毎年影響 |
これらの条件を順番に補足して解説します。
販売手数料
VT(ETF)の場合だけ販売手数料がかかります。
以前は少額でETFを購入しようとすると最低5ドルの手数料が取られていましたが、2019年7月から最低手数料は大手3社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券)で無料と発表されました。

そのためこれまでのように最低手数料を考えて投資金額を調整する必要がなくなりました。
項目 | SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 |
①通常手数料 | 0.45% | 0.45% | 0.45% |
②最低手数料 | 0 | 0 | 0 |
③最大手数料 | 20ドル | 20ドル | 20ドル |
よって今回のシミュレーションではVT(ETF)の販売手数料は買付金額の0.45%を採用します。
楽天VT(投資信託)はノーロードファンドであるため販売手数料は0円です。
ドル転手数料
楽天VT(投資信託)は日本円で売買ができるのでドル転手数料はかかりません。
一方VT(ETF)を購入するにはドルを準備する必要があり、住信SBIネット銀行×SBI証券を使ったとしても1ドルあたり往復で8銭の手数料がかかります。
1ドル=100円とすると8銭なので、買付金額の0.08%がドル転手数料としてかかってきます。

販売手数料とドル転手数料は1回だけしか効いてこないので長期投資だとほとんど影響がありません。
運用手数料
運用手数料は毎年の運用金額全体にかかってくるものなので重要です。
運用手数料分だけ利益率が下がることになります。
このことから考えるとVT(ETF)は0.08%の運用手数料であるため激安です。
一方の楽天VT(投資信託)はというとVT(ETF)を買う投資信託という性質上、どうしても運用手数料が高くなってしまいます。
ちなみに楽天VT(投資信託)の手数料は一番大きな信託報酬の他にも、売買手数料・外貨建て資産の保管費用・監査報酬などがプラスでかかります。
2021年時点では0.261%を実質の運用手数料として計算します。
配当金
配当金は税引き前は2%としました。
先にも書いたようにVT(ETF)は強制的に配当金が支払われ、配当金には米国(10%)と日本(20.315%)の2重で税金がかかってきます。
2重でかかった税金のうち米国課税分は確定申告で返ってきますので、VT(ETF)の配当金にかかる税金は20.315%とて計算します。
一方楽天VT(投資信託)は米国課税分の10%のみ源泉徴収され再投資されるので、楽天VT(投資信託)の配当金にかかる税金は10%として計算します。
楽天VT VS VTのシミュレーション結果
シミュレーションの条件を再度まとめると以下のとおりです。
項目 | 楽天VT(投資信託) |
VT(ETF) | 備考 |
積立金額 | 50,000円 | 50,000円 | ー |
利益率 | 5% | 5% | 毎年影響 |
購入手数料 | ー | 0.45% | 購入時のみ |
ドル転手数料 | ー | 0.08% | 購入時のみ |
運用手数料 | 0.261% | 0.08% | 毎年影響 |
配当金(税引き後) | 1.8% | 1.59% | 毎年影響 |
この条件で20年間の運用シミュレーション結果が次のグラフになります。
この結果を見るとほとんど差が出ていないのがわかります。
しかしよく見ると手数料が安いVT(ETF)のほうが楽天VT(投資信託)よりわずかですが運用成績が悪くなっています。
運用成績を一覧にまとめます。
運用期間 | 楽天VT(投資信託) | VT(ETF) |
5年後 | 364万円 | 362万円 |
10年後 | 864万円 | 858万円 |
15年後 | 1,550万円 | 1,539万円 |
20年後 | 2,492万円 | 2,472万円 |
20年後には楽天VT(投資信託)のほうがVT(ETF)より、わずかに20万円運用成績がいいという結果がでました。
この結果は毎年影響してくる手数料と配当金が原因です。
20年間でかかった手数料を比較してみます。
項目 | 楽天VT(投資信託) | VT(ETF) |
ドル転手数料 | 0円 | 9,600円 |
購入手数料 |
0円 | 54,000円 |
運用手数料 | 550,000円 | 167,000円 |
配当金 | 421,000円 | 849,000円 |
合計 | 971,000円 | 1,080,000円 |

VT(ETF)は手数料が安い代わりに、配当金にかかる税金が高く、配当金を含めたトータルの手数料はETFの方が高いのが分かります。
これは一般的にETFの手数料は投資信託よりも安いと言われる内容と異なりますね。
投資信託 VS ETFまとめ
- 運用成績;投資信託>ETF
- 運用手間;投資信託が楽

ETFはトータルの成績が投資信託に劣り、さらにドル転などの余分な手間や最低購入価格が高いなどのデメリットがあります。
それでもETFに投資する理由はなんでしょうか?
それでもETFに投資する意味
ここまでの結果を確認すると海外ETFに投資するよりも投資信託に投資した方がメリットがありそうですが、私が海外ETFに投資する理由は以下の3つです。
- ETFはリアルタイムに取引が可能
- ドルで資産を持ちリスクを分散
- 分配金が長期投資の原動力になる
ETFはリアルタイムに取引が可能
ETFに投資していて良かったと思うのは、ETFは市場が開いている時間帯であれば普通の株式と同じようにリアルタイムに取引ができるという点です。
私が主に行っている投資はインデックスの積立投資、高配当株投資、成長株投資、債券投資の4つですが、そのほとんどの投資先が海外ETFです。
2020年のコロナショック時に大きく相場が動きましたが、その際に私は手持ち資金を追加投資したり、保有している商品比率を入れ替えたりしました。
資産を動かすときには数百万円単位の金額を売買するため、投資信託のように1日1回の取引を待っていては、安心して寝ることもできませんし、相場の変動のスピードについていくこともできません。
このような私の投資スタイルを考えると、投資信託ではなくリアルタイムに取引ができるETFが必須になります。
ドルで資産を持ちリスク分散
2つ目の理由はドルで資産を持ちリスクを分散するということです。
日本人の多くの人たちは日本円のみで資産を持っています。
投資の世界では分散投資が重要と言われているにも関わらず、通貨別という観点からみた場合ほとんどの方が円資産のみでの運用になっています。
これまでの日本は経常収支も順調に推移してきましたが、これからは少子高齢化、労働人口の減少がすすむことから経常収支はだんだんと小さくなっていくものと予想されます。
アメリカやイギリスのように海外の投資を呼び込めれば話は別ですが、閉鎖的な島国という日本の特性を考えるとなかなかうまくいくようには思えません。
そのため今後は日本円の価値は長期的に緩やかに円安方向に進んでいくものと予想しています。
円安に進むということは円資産で保有している資産価値が減少していくということです。

楽天VTは円で買い付けを行ますが「為替ヘッジなし」なので為替の影響は受けます。
しかしこの先何が起きるかわからないため、リスクを分散させるためにもドルで海外ETFに投資し、ドルで資産を持つことは重要だと思っています。
分配金が長期投資の原動力になる
最後は分配金がもらえるという点です。
分配金はもらわずに再投資した方がいいことは頭ではわかっていても、やはり分配金をもらえると嬉しいものです。
投資信託だと分配金を受け取るか再投資するかを選べますが、ETFの場合は強制的に分配金を受け取る必要があります。
投資を始めたばかりの頃は税金分無駄になっているという意識でしたが、今や定期的にもらえる分配金だけが長期投資の楽しみといってもいいぐらいの存在になっています。
これまで受け取った分配金の累計を掲載します。
長期投資で成功するのに大切な基本は、長期に渡って投資を継続することですが、分配金は長期投資を継続する良いモチベーションになります。
海外ETFに投資する理由
- ETFはリアルタイムに取引可能
- ドルで資産を持ちリスク分散
- 分配金が長期投資の原動力になる
まとめ
投資信託とETFの運用成績をシミュレーションし、投資信託の方が手数料やパフォーマンスだけを見ると良いことが分かりました。
しかしポートフォリオの入替え時の取引の速さや、ドルで資産を持つという観点から見ると海外ETFが優れています。
また分配金がもらえるという点についてはあまり期待していませんでしたが、実際もらうと嬉しいものです。
少々の手間をかけてでもこれらのメリットを受けたい方は、ETFへの投資をトライしてみてください。