
短期金利とか長期金利とか聞くけど、何が違うの?
こんなお悩みにお答えします。
☑️本記事の内容
- 短期金利の解説と金融政策が短期金利に与える影響
- 長期金利の解説と財政政策が長期金利に与える影響
☑️本記事の執筆者

投資歴15年超のサラリーマン投資家です。
私のブログでは投資初心者・中級者の方々に向けて基礎知識を短期間で身に付けられるよう分かりやすくまとめてます。ぜひご覧ください!
金利は取引される期間の長さによって短期金利と長期金利に分けられます。
一度は聞いたことがあるかもしれません。
しかし、同じ金利という名前であっても短期金利と長期金利では意味合いが大きく異なります。
今回の記事では長短それぞれの金利の特徴と、これらが上がったり下がったりすることで我々の生活や経済にどのような影響を及ぼすかを分かりやすく解説します。
短期金利の特徴を解説
短期金利というのは期間1年以下の金利のことを言います。
銀行預金の場合で考えると普通預金の金利が該当し、企業が銀行から借り入れを行う場合は短期借入金利にあたります。
1年以下の金利なので、長期で貸し付けることによるリスクが少ないため、通常は長期金利より利率が低くなります。
金融政策が短期金利に影響を与える
為替は世界中の投資家やヘッジファンドなどの影響を受けるためコントロールすることは難しいですが、金利はある程度コントロールできます。
特に短期金利は中央銀行(日本の場合は日本銀行=日銀)の金融政策である政策金利の影響を強く受けます。
以下のグラフは米国の政策金利と期間の短い2年国債と期間の長い10年国債の利回りの推移です。
※引用;野村アセットマネジメント
このデータを見ると政策金利は期間の短い2年国債利回りとほぼ連動しているのがわかります。
日銀は経済の状況を見ながら政策金利を決め、金融市場で公開市場操作を行い、資金を大量に投入したり、逆に資金を市場から吸収したりして、目標とする金利まで誘導します。
- 市場へ資金を投入→金利下落(利下げ)
- 市場の資金を吸収→金利上昇(利上げ)
市場へ資金を投入する場合は、市場でお金があまっている状態(金利を下げないと借りてくれない状態)なので金利は下落します。
市場の資金を吸収する場合はその逆です。
短期金利が変動するとどうなる?
短期金利が下がると企業は金利が高い時に比べて、お金を少ない利子で借りることができるため、銀行からお金を借りて設備投資などを行おうとします。
設備投資の増加により経済は活性化され、景気はよくなる方向に向かいます。
逆に金利が上がると企業としては利払いが多くなるので、銀行からお金を借りて設備投資をすることを控えるようになります。
設備投資が減ることで経済にはブレーキがかかり、景気は悪くなる方向に向かいます。
では金利をずっと低くしておけば経済が良くなり続けていんじゃないかと思うかと思いますが、それはそれで市場にお金が出回りすぎて、バブルなどの悪影響が出てきてしまいます。
このように日銀などの中央銀行は景気の良し悪しを敏感に察知し、政策金利を絶妙に調整しながら景気のアクセルとブレーキを巧みに使い分けています。
長期金利の特徴を解説
長期金利というのは期間1年以上の金利のことを言います。
銀行預金の場合で考えると1年以上の定期預金の金利や住宅ローン金利が該当し、企業が銀行から借り入れを行う場合は長期借入金利にあたります。
1年以上の金利なので、長期で貸し付けることによるリスクが多いため、通常は短期金利より利率が高くなります。
財政政策が長期金利に影響を与える
長期金利は将来の短期金利の動向や、景気、物価など市場参加者の予想による影響を大きく受けます。
金融政策は短期金利に強い影響を与えましたが、財政政策はどちらかといえば長期金利への影響が大きいという特徴があります。
なぜなら長期金利の指標となる国債の発行方針は国の財政政策で決まり、10年国債の利回りは長期金利の指標になっているからです。
不景気の場合は金利を低くしても企業はなかなかお金を借りようとせず、どんどん景気が悪くなってしまいます。
そこで政府としては国債を大量に発行(財政出動)して、無理やり公共事業などにお金を使い、景気を良くしようとします。
国債の価格が下落して金利が上昇するイメージは次の図の通りです。

リーマンショック時に世界経済がどん底に落ちた時は、中国の財政出動による景気刺激策は約57兆円の規模で行われ、世界経済を救ったと言われています。
長期金利は将来の予想による影響が大きいと書きましたが、ここで説明した長期金利が上昇するロジックは「将来景気が良くなる(短期金利が上昇する)ことを予想して、長期金利が上昇」するということです。
景気がいい場合は、民間企業がたくさんお金を使っている状況で、政府としては税収がたくさん入ってくるので、国債を発行する必要がないため、国債発行量は少なくてすみます。
このように景気のいい時と悪い時で中央銀行と政府の取るべき政策は変わってきます。
ちなみにアベノミクス「3本の矢」は「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「投資を喚起する成長戦略」の3つで、金融政策と財政政策を大胆に行い景気を良くしようという政策です。
長期金利が変動するとどうなる?
長期金利は借入期間1年以上の金利なので、個人の生活にもっとも影響を与えるのは住宅ローンです。
住宅ローンは現在1%以下の超低金利で推移しており、私もその恩恵を受けています。
日銀のゼロ金利政策により短期金利は長らく低く抑えられる中、長期金利は市場の予想を元に形成されていました。
しかし今は黒田日銀総裁となってからは、いわゆる「異次元緩和」で日銀が政府が発行する長期国債を大量に買い入れるようになりました。
そのため長期金利は市場で価格形成されなくなり、超低金利どころかマイナス金利となってしまっています。
住宅ローンを借りる側にとってはいい状況ですが、マイナス金利となることで地方の銀行はビジネスモデルが成り立たなくなり、非常に苦しい経営状態となっています。

日銀がとっている現在の政策は文字通り「異次元緩和」なので、今後どのように経済に影響を及ぼすかは誰もわからない状態です。
まとめ
金利が我々の生活に直結し、マクロ経済政策の金融政策と財政政策の影響をどのように受けるのかを解説しました。
金利の動向を見ていると、現在の経済の状態や将来の経済の状態をおぼろげながら予想することができます。
リーマンショック後、世界では超低金利が続いていますが、今後どういう風に金融政策をとっていくのか楽しみですね。