
積立投資と一括投資ってどっちがいいの?
手持ちの投資資金がある場合はどうすればいいんだろう?
こんなお悩みにお答えします。
☑️本記事の内容
- 一括投資と積立投資の成績をシミュレーションして比較
- 積立投資をこのまま継続してもいいのか?
- 500万円の余剰資金がある場合の投資方法を紹介
☑️本記事の執筆者

投資歴15年超のサラリーマン投資家です。
私のブログでは投資初心者・中級者の方々に向けて基礎知識を短期間で身に付けられるよう分かりやすくまとめてます。ぜひご覧ください!
ちまたではつみたてNisaの制度がスタートされ、積立投資を継続して行っているかたも多いかと思います。
積立投資は購入するタイミングを分散し、リスクを分散する効果があると言われています。
今回の記事は、「積立投資」VS「一括投資」について、シミュレーション結果を元にどっちが有利なのか解説しようと思います。
そしてこの結果から、
- 積立投資をこのまま継続してもいいのか?
- 手持ち資金が500万円ある場合にどう投資するのか?
を自分の投資経験を元に解説します。

基礎的なことですが、意外と理解していないことが多い非常に重要なことなので、じっくりと読んでみてください。
一括投資と積立投資の成績をシミュレーションして比較
右肩上がりの相場では一括投資が有利
まず話を単純化するため、以下のような直線的に右肩上がりの相場を考えます。
このような相場で「一括投資」と「積立投資」の成績を比較してみます。
シミュレーションの条件は以下の通りです。
- 一括投資・・・初月に4万円を一括投資
- 積立投資・・・4ヶ月間1万円ずつ合計4万円を積立投資
両方とも4万円という金額は同じです。
【一括投資の結果】
まずは初月に一括投資した場合の結果です。
この図のように初月に一括投資するので、買い平均価格は当然ながら100円です。
そして利益は、買い平均価格と4月の価格から12万円という結果です。
【積立投資の場合】
続いて積立投資の場合をみてみましょう。
積立投資では相場に合わせて毎月購入するので、最終的には平均買い価格が192円まで上昇しました。
そのため利益は4.3万円という結果になりました。
一括投資と積立投資の結果をまとめると以下のようになりました。
項目 | 一括投資 | 積立投資 |
投資金額 | 4万円 | 4万円 |
購入数量 | 400 | 208 |
買い平均値 | 100円 | 192円 |
利益 | 12万円 | 4.3万円 |
- 右肩上がりの相場では「一括投資」>「積立投資」の成績となる
過去の相場を使って「積立投資」VS「一括投資」を検証

そうは言っても、相場はアップダウンするし、実際の相場ではこんなに上手く行かないんじゃないの?
という疑問が湧いてきますね。
ここでは実際の相場を元に「一括投資」VS「積立投資」でどっちの投資成績がいいのかを検証してみます。
シミュレーションには、アメリカの代表的な指標であるS&P500の1970年〜2020年の50年間を使用します。
1970年以降のS&P500の値動きは次のグラフの通りでした。
グレーの帯は1970年以降にS&P500が経験した数々の暴落局面です。
さまざまな暴落がありながらも今日までS&P500は力強く上昇してきたのが分かります。
このチャートデータを用いて、毎月10,000円ずつ(1ドル=100円で固定と仮定)、S&P500に積立投資したと仮定します。
シミュレーションした投資期間は5年・10年・15年・20年です。
1970年〜2020年までの期間において、投資開始時期を1ヶ月ずつずらした場合の投資パフォーマンスを全ての投資期間において計算し検証しました。
例えば投資期間10年であれば、
- 1970年1月〜1979年12月
- 1970年2月〜1980年1月
- ・・・
- 2010年3月〜2020年2月
- 2010年4月〜2020年3月
と1ヶ月ずつ投資タイミングをずらして全パターンで検証しました。
では一括投資と積立投資の投資結果を期間毎に比較してみてみましょう。
- 最大利益…投資期間毎の成績の最大利益(MAX(利益額/投資元本))
- 最小利益…投資期間毎の成績の最小利益(MIN(利益額/投資元本))
- 平均利益…投資期間毎の成績の平均利益(AVERAGE(評価額/投資元本))

結果は全て投資期間終了時点を使用しています。
すべての期間において、平均利益は「一括投資」>「積立投資」という結果になりました。
また「積立投資」の場合は15年間投資してもマイナスになるタイミングがありましたが、「一括投資」の場合は15年間投資するとマイナスになることは無くなりました。
つまり過去の相場からシミュレーションした結果、以下のことが分かりました。
- 5年以上の投資期間であれば「一括投資」>「積立投資」の成績となる
このまま積立投資を続けてもいいのか?

あれ?積立投資はサラリーマンにおすすめの投資方法じゃないの?
今度はこんな疑問が湧いてきました。
私も次の記事✅つみたてNisaは2つの効果でリスクが小さくなる【サラリーマンにおすすめな理由】 で積立投資がドルコスト平均法の効果でリスクが小さくなると説明しました。
これはサラリーマンに投資に使える余剰資金がないのが前提です。
余剰資金がない場合は、給料が入った時点が投資資金ができる最も早いタイミングとなります。
そのため毎月定額の給料が入り、それを毎月投資する積立投資はサラリーマンにオススメだと思っています。

実際に私も積立投資をしています。
なので、「一括投資」が「積立投資」より有利だとしても、現時点で投資のための余剰金がない場合は、「積立投資」を継続するのがいい方法だと思います。
500万円の手持ち資金をどう使うか?
では今度は、手持ち資金がある場合です。
私もここで書く方法で投資を行っていますので、その方法を紹介します。
例えとして500万円の手持ち資金があり、さらに積立投資を毎月の給料から5万円ずつできる場合を考えてみます。
このような場合だと、私なら手持ち資金の500万円は5年ぐらいかけて分割し、それに毎月の5万円を加えて投資する方法を行います。
つまり以下のように投資します。
- 当初5年間・・・500万÷60ヶ月+5万円=毎月13万円
- 6年目以降・・・毎月5万円
始めに500万円を一括投資しない理由は、仮に始めに全部投資してしまい、その直後に暴落してしまうと損失に耐えられなくなり、冷静に対処できなくなると思うためです。
一括投資は怖いけど、なるべく早期に投資したいの答えが5年程度で手持ち資金を投資しようというものでした。
手持ち資金の投資期間を5年程度にしたのは、過去の相場実績から5年ほどかけて積立投資を行うと評価益がそこそこ発生し、たとえ6年目に下落したとしてもそんなに大きな損失は出ないと考えるためです。
試しに2010年以降の5年毎のS&P500の上昇率を確認してみましょう。
期間 | 価格(ドル) | 5年間の上昇率 |
2011年〜2015年 | 1286〜2043 | 59% |
2016年〜2020年 | 1940〜3756 | 94% |
5年間でのドルコスト平均法による買い付け平均価格は大体真ん中ぐらいですが、6年目に大暴落が起きたとしても、そんなに大きな損失にはなりません。
これが大体5年にした理由です。
まとめ
「積立投資」と「一括投資」の成績について比較しました。
株式相場が基本的に右肩上がりという性質を考えると、言われてみると単純な理論だったと思います。
このことを知っていると、手持ち資金が500万円ある場合、これをリスク分散のためにと40年かけて「積立投資」するというのは、ちょっと違うというのがわかったかと思います。
今回紹介したのは、余剰資金がある場合の話です。
投資できる余剰資金がない場合は、そのまま積み立て投資を継続しましょう。
またつみたてNisaの場合は、利益に税金がかからないという別のメリットがあるので、もちろんオススメです。