購買力平価からトルコリラ投資の危険性を考える

くわにゃん(@kuwanyan98)です。

投資に役立つ経済知識の第16弾は「購買力平価からトルコリラ投資の危険性を考える」です。

 

前回の記事では物価の変動からインフレになると物の価値が大きくなり、通貨の価値が小さくなるという点を解説しました。

しかしインフレ率というのはそれぞれの国の財政状況や金融政策の影響を受け、インフレ率はそれぞれの国によって大きく違います。

 

インフレ率が国によって違うということは名目金利も大きくことなり、それぞれの国の金利の差からもらえるスワップ金利も大きく異なります。

インフレにより名目金利が大きくなりスワップも大きくなるなら、それだけで人気通貨となり良いことずくめのように思われますが、その一方で通貨の価値というのは下落していってしまいます。

 

今回の記事ではそれぞれの国によって違うインフレ率によって通貨の価値がどう影響するかを購買力平価説を使って解説し、インフレ率の高い新興国通貨に投資するのが難しい点を解説します。

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購買力平価説とは

購買力平価説

購買力平価説というのは、1921年にスウェーデンの経済学者G・カッセルによって提唱された理論で、自分の国の通貨と他の国の通貨の購買力から為替レートを求めるというものです。

「説」と書いてあることからも実際にこの仮説通りに為替レートが動くわけではありませんが、おおむねこういった傾向がみられます。

例えば日本のようにインフレ率が0%若しくはマイナスの国の物価というものは1年経っても変わりません。
実際私が小学生のころは100円で買えていた自動販売機のジュースは消費税の影響で高くなっているものの30年たっても120円になっただけです。
1年後にインフレの影響で10%も20%も物価が上がるということは経験したこともありません。
むしろ牛丼の値段が1杯300円を下回ったり、物がやすくなるデフレの方が印象に強いぐらいです。
一方インフレ率の高いトルコの場合を例に考えてみます。
トルコのインフレ率は2019年の実績値で16%程度ですが、20%と仮定して説明します。
トルコの場合は5TRYだった物は1年後には20%値段が上がり6TRYになります。
インフレのある状態というのは日本で住んでいる私たちには実感としてわきませんが、1年後には20%も世の中の物の値段が上がってしまう状態です。
そして通貨の価値で考えると、同じジュースを買うことを考えると以下のようになります。
同じジュースを介して購買力を考えると、
  • 【現在】100円=5TRY→20円/TRY
  • 【1年後】100円=6TRY→17円/TRY
となり、トルコリラの価値が下がっている(1TRYを20円→17円で買える)のが分かります。
簡単にまとめるとインフレ通貨は、インフレ分だけ価値が下落するというのが購買力平価の考え方です。

インフレ率と通貨の下落

続いてインフレによりどれぐらい通貨価値が下落したのかトルコリラで確認してみます。

比較のためにトルコのインフレ率分だけ通貨の価値を減価していったものを掲載します。

スタートは2007年にトルコリラが95円/TRYだった時です。

※インフレ率は世界経済のネタ帳を参照

赤が実際のトルコリラ円のレートで、青がインフレ率を考慮して減価していったものです。

インフレ率を考慮したものと実際のレートの下落具合の傾向はだいたい一致しているのが分かります。

 

ここまで解説したことから考えるとインフレ通貨は不利なように見えますが、実際は通貨の下落分を補填する形でトルコリラは日本よりも金利が高く設定され、銀行に預けておくと金利がつきます。
この点もデフレに慣れている日本人に分かりづらい部分になります。
でも実際は金利差からもらえるスワップよりも通貨の下落速度の方が早かったため、スワップ収入による大きな利益を夢見て投資した日本の投資家たちは、大きな損失を被ることになりました。
適度なインフレ自体は悪いものではないのでトルコリラ自体が悪いというより、通貨が下落していくことを知らせないで過大な広告をするのが悪いと思います。
くわ
くわ
私も過去に実際に投資して損失を出しました。

ちなみにもらえるスワップが1TRYあたり10%とすると2007年も2019年も同じ0.1TRYもらえますが、日本円にすると2007年は9.5円、2019年は2円と少なくなります。

つまりトルコリラ円のレートが下がるともらえるスワップも下がるということです。

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新興国通貨は長期で下落し続ける通貨

新興国通貨自体への投資は悪いものと思いませんが、普通の株式のように過去の実績を考えるとそろそろ底かなと思い、投資すると投資判断を間違えます。

 

先進国通貨が長期では大きなレンジを形成するのに対して、新興国通貨はそもそも長期では下落していくという特徴があります。

スワップ投資として人気の新興国御三家のトルコリラ円、メキシコペソ円、南アランド円がどれぐらい下落したのか長期チャートで確認します。

トルコリラ円の場合

まずはトルコリラからです。

2008年8月に93円だったトルコリラ円は2020年4月末で15円台にまで下落しました。

項目 最高値 現在地 年数 年平均下落率
トルコリラ円 93円 15.2円 12年 −14.0%

12年間の平均下落率は−14%でした。

レバレッジ3倍であれば−42%も年間に下落したことになります。

トルコのインフレ率は10〜15%程度で推移しているので、それ以上の下落率です。

 

この期間にもらえたスワップよりも早いスピードで下落したため、長期でトルコリラ円に投資した場合大きな損失となりました。

メキシコペソ円の場合

続いてメキシコペソです。

2007年6月に11.5円だったメキシコペソ円は2020年4月末で4円台にまで下落しました。

項目 最高値 現在地 年数 年平均下落率
メキシコペソ円 11.5円 4.5円 13年 −7.0%

13年間の平均下落率は−7%でした。

メキシコのインフレ率は3〜6%程度で推移しているので、スワップをもらうと良くてトントンレベルです。

 

新興国通貨の中では比較的安定しているものの、長期で見るとやはり下落しています。

南アランド円の場合

最後は南アフリカランドです。

2006年4月に19.7円だった南アランド円は2020年4月末で5円台にまで下落しました。

項目 最高値 現在地 年数 年平均下落率
南アランド円 19.7円 5.8円 14年 −8.4%

14年間の平均下落率は−8.4%でした。

南アフリカのインフレ率は4〜8%程度で推移しているので、それ以上の下落率です。

南アランドも他の通貨と同様に大きく下落し続けています。

 

これらの通貨の長期チャートから分かるように、株式投資とは違い底値がなく下落し続けるのが高インフレの通貨です。

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まとめ

購買力平価説の観点からインフレ率の高い通貨が長期で下落していくという点についてまとめました。

 

日本の金利は長らく0%に限りなく近い水準が続いていますが、インフレ率の高い特に新興国通貨はスワップもたくさんスワップがもらえることから、私も投資をしたことがありました。

しかしいくらスワップをもらったとしても下落のスピードの方が早いので、大きな損失となりました。

さらにレバレッジを大きくすると損失も大きくなるという状況が続いています。

 

スワップという甘い言葉に騙されないようにしたいですね。

 

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