
ブレグジットってなんなの?
どうしてそんなにEUを離脱したいんだろう。
こんなお悩みにお答えします。
☑️本記事の内容
- ブレグジットってなに?
- 残留派と離脱派。それぞれどんな人が多かったのか
- ブレグジットを求める理由とEU加盟のメリット
☑️本記事の執筆者

投資歴15年超のサラリーマン投資家です。
私のブログでは投資初心者・中級者の方々に向けて基礎知識を短期間で身に付けられるよう分かりやすくまとめてます。ぜひご覧ください!
2016年にイギリスのEU離脱についての国民投票が行われ、まさかのEU離脱への投票数が反対派を上回る結果となり、EU離脱が決定しました。
単にEUを離脱するといっても、貿易や為替のシステムがEUに加盟しているものとして機能しているため、単純に「はい、離脱!」というのができない状況です。
今回はそんなブレグジットについて、そもそもブレグジットって何なのか、どうしてEUを離脱したいのかなどを分かりやすく解説したいと思います。

ブレグジットについて簡潔に知りたい方は参考にしてみてください。
ブレグジットって何?
ブレグジットは英語ではBrexitと書きます。
Britainのexit、つまりイギリスのEUからの離脱のことです。
イギリスのEU離脱については2016年6月23日に国民投票が実施され、僅差でEU離脱への投票が、EU残留への投票を上回り、EU離脱が決定されました。
当時EUに残留するだろうという意見が多数であったため、英ポンドは乱高下しました。
こちらのチャートは当時のGBP/USDの日足チャートです。
1.50~1.32まで約1800pipsが数時間のうちに下落しました。
一日で200pips程度動くとまあまあ大きな動きのほうなので、その10倍近くを数時間のうちに動いたことになります。
ブレグジットが決まったのちメイ首相は離脱に向けての協議を重ねていましたが、イギリス国内の意見をまとめきれず、数度のEU離脱延期の末、辞任することになりました。。
そしてブレグジット問題解決に向けて新しく首相になったのが、イギリスの狂犬トランプことジョンソン首相です。
メイ首相がなんとかEU側と協議しながらブレグジットを進めようとしていたのに対して、ジョンソン首相は話がまとまらなくても2019年10月末には何が何でもEUを離脱するというハードブレグジット派です。

結局世論ではEU残留支持が多かったものの、イギリス国民のブレグジットの混乱による疲れから、最終的にはブレグジット派のジョンソン首相を押す形となり、2020年1月末にブレグジットが決まりました。
残留派と離脱派、それぞれどんな人が多かったか?
国民投票の結果が僅差であったことから、残留支持派と離脱支持派が拮抗していたことがわかります。
それぞれどういう方々が残留or離脱を支持したかをまとめてみました。
残留支持派
残留支持派で若者世代が多いのはEUが出来てだいぶ時間が経っており、生まれたときからEUに所属という若者も多いのでしょう。
また大都市は若者が多く、中流階級以上の方も多いため、そのままEUに残ったほうがメリットが大きいという判断で残留支持派が多かったのでしょう。
離脱派
一方離脱派が多かったのは、年配世代で労働者階級が多い地方の方々でした。
こういった方々は、東欧諸国から安い賃金で移民が押し寄せ職を奪われた方も多かったのではないでしょうか。
またイングランド人に離脱派が多いというのも面白いですね。
EUのシステムより自分たちの主権をしっかりと確保したいといったところでしょうか。
いずれにしても離脱派の方はEU加盟によってデメリットを被ってきた方々ですね。
ブレグジットを求める理由
ブレグジットを求める理由には様々なものがありますが、主な理由である経済的問題と移民問題について説明します。
経済的問題
EUは28か国(2018年11月時点)の集合体ですが、経済力や国の信用力が様々な国々が集まって出来ています。
こちらはEU加盟国から抜粋した国債格付け一覧です。
これを見ると信用力最大からジャンク級より下の最下級レベルまで同じEUに所属しています。
そしてそれが単一通貨ユーロを採用しています。

こうしてみると明らかに変ですね。
通貨の価値は国の強弱によって変動するはずです。それがユーロの場合、ドイツとギリシャが同じ共通通貨ユーロを採用しています。
そして2010年、2015年にギリシャ危機が発生し財政破綻しそうになり、EU加盟国に大きな打撃を与えました。
この2回にわたるギリシャ危機に対して、ユーロ圏諸国の財務相会合が行われ、第一次支援~第三次支援までで総額約3260億ユーロを支援することで合意されました。
またギリシャ政府に対しては、増税や公共投資削減等の厳しい緊縮財政策等が支援金受け取りの条件として課され、国民に大きな負担を強いることになりました。

経済が打撃を受けている時に緊縮財政なんてするともっと経済が落ち込むね

でもユーロにとっては、これぐらいしか打つ手がないんだよ。
これらはいわゆるユーロ危機と呼ばれる現象ですが、特に信用力が低い国では同じような金融危機に陥る可能性がいつでもあります。
そしてこれらの緊急支援を肩代わりするのがドイツ・イギリスを含めたEUの中でも経済的に豊かな国なのです。
移民問題
続いては移民の問題です。
1980年代にはEU加盟国は12か国でしたが、その後増え続け現在28か国までになっています。
当初加盟国よりもっとまずしい東欧諸国が加わったことで、それらの国から賃金のはるかに安い労働者が大挙して押し寄せることになりました。
貧しい国の人からすると経済的に豊かな国に自由に住め、さらに賃金もたくさん貰える、まさに夢のようですね。
一方イギリスサイドとしては黙っていられません。
もともと移民を制限していたのに大量の移民が入ってくるわ、労働者階級の仕事はなくなるわ、低所得者住宅の賃貸料を押し上げるわで、不満がたまるのも理解できます。

イギリスの経営者にとっては、労働賃金が安くなるので良いこともあるんですけどね。
EUから離脱することでこれらのデメリットから解放されることになります。
EU加盟のメリット
イギリスがEUを加盟していることで受けるメリットはいろいろとあります。
域内の移動が自由
EUに加盟する国は、EU域内であれば旅券検査や出入国審査が必要ありません。
域内の移動が自由であれば人の行き来がしやすく経済は活性化されます。
関税がかからない
EU域内は関税がほとんどかかりません。
関税がかからないということは、無駄な税金を払わなくていいわけですから経済は活性化します。

関税は自国の産業を守るという意味もあるので、関税がかけられないのは特に競争力が弱い国にとっては不利になります。
このあたりがEUの中での経済格差拡大の原因になってますね。
また物流も関税の壁が無くなるので活発になりますね。
巨大経済圏を形成
EU設立当初のアメリカに対抗できる巨大な経済圏の形成もメリットの一つです。
小国同士が集まっても小さな影響しか与えられないので、一致団結して対抗しようというやつですね。
また、イギリスはユーロを採用しませんでしたが、共通通貨ユーロの導入というのも一つの大きなメリットです。
今やEUR/USDは世界の通貨取引高でトップですからね。
ブレグジットとなるとこれらのメリットを放棄することになります。
ソフトブレグジットとハードブレグジット
イギリス国内でもEUからどういう風に離脱するのか意見が分かれています。
ソフトブレグジット
ソフトブレグジットでは、EU域内との貿易とEU市場への参入を今までと同じような形で許可してもらうというものです。
その代わり移民についてもEUの意向を一部受け入れつつ、EUの規定も大幅に維持するというもの。
EU非加盟国のスイスやノルウェーも同様の取り決めを結んでいます。
ハードブレグジット
これはイギリスが合意なしでEUを離脱するというものです。
こうなれば関税はEU域外と同じ扱いになり今よりも高くなります。
多くの巨大な金融企業などのサービス企業はEU域内での事業に制約が出てきます。
また経済自体が機能不全に陥り、大混乱となる可能性もあります。
こうなるとイギリス経済には大打撃になり、ソフトブレグジットに比べて、国民一人当たり年間800ポンド負担が増えると言われています。
まとめ
2020年1月末にイギリスがEUを離脱することが決まりました。
私は、もともとイギリスはユーロを採用していないため、離脱するメリットはそんなに見当たらないと思ってました。
経済的なデメリットを考えると少なくとも短期的には離脱しないほうがいいように思えます。
ところが、イギリスのプライドというか主権を確保するという意味では将来ブレグジットは良かったと言われるのではないかと思います。
かつて世界の覇権を握っていたイギリスの意地がありますからね!