くわにゃん(@kuwanyan98)です。
つみたてNisaで運用している「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」の銘柄分析を行います。
ファンドの基本情報から私的なファンド評価、手数料・運用成績・投資対象等について解説します。
基本情報
名称 | eMAXIS Slim新興国株式インデックス |
設定日 | 2017/7/31 |
償還日 | 無期限 |
ベンチマーク | MSCIエマージング・マーケット・インデックス
(配当込み、円換算ベース) |
投資形態 | ファミリーファンド |
ファンド分類 | インデックス型 |
運用会社 | 三菱UFJ国際投信 |
販売手数料 | なし |
信託報酬 | 0.2079%(税込) |
解約時手数料 | なし |
為替ヘッジ | なし |
MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み、円換算ベース)をベンチマークとします。主として対象インデックスに採用されている新興国の株式等に投資を行います。※目論見書から引用
eMAXIS Slim新興国株式インデックスは楽天証券の買付ランキング20位(2020年1月時点)の銘柄で、新興国の株式に投資するファンドです。
ベンチマークとするMSCIコクサイ・インデックスは、米MSCI社が提供する指数で、新興国(エマージング)26か国を対象とし、各国の大型/中型株(時価総額の上位約85%)をカバーするインデックスです。
私的なファンド評価
ファンド評価
結論から書くとeMAXIS Slim新興国株式インデックスは、新興国への投資を考えている方であれば「おすすめするファンド」です。
eMAXIS Slim新興国株式インデックスのいいところは端的にいうと、急成長の可能性がある新興国市場に0.2%という超格安の手数料で簡単に分散投資ができるという点です。
0.2%の手数料というのは100万円投資したとしても年間でたった2,000円の手数料しかかかりません。
格安の手数料で中国・インド・台湾などの主要新興国に投資を行うことができるのは、かなりメリットがあると思います。
そして新興国株式の過去20年間のチャートは以下の通りです。
MSCI Emerging Markets(紺色)が新興国で、その他が全世界株式に連動するインデックスです。
このチャートを見ると新興国市場の特徴が一目瞭然です。
2004年から2007年のBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)と言われた新興国市場が一気に注目を集めたときは株価が急上昇し、その後の世界金融危機(リーマンショック)の際は急激に下落しています。

このように先進国マネーが世界の景気に合わせて急速に流入・流出することにより激しく上下するのが新興国市場の特徴です。
急回復した2011年以降は横ばいが続いていますが、2000年から投資した場合は大きな利益になっています。
上記チャートの期間ごとの収益率を掲載します。
赤枠のように2000年から投資した場合だと年間平均収益率が9.14%で全世界系の倍近くの収益率という結果でした。
20年間だとS&P500よりも収益率がいいですね。
ここ最近のパフォーマンスはすぐれませんが、今後の新興国の高いGDP成長率を考えると再度新興国市場が注目された際には大きく上昇が狙えるファンドでもあります。
類似ファンドとの比較
続いて重要なのは手数料ですが、新興国株式に投資する代表的なインデックスファンドの信託報酬に諸経費を加えた実質コストは以下の通りです。
項目 | 信託報酬(税抜) | 実質コスト(税抜) |
eMAXIS Slim新興国株式インデックス | 0.189% | 0.335% |
SBI新興国株式インデックス | 0.178% | 0.339% |
ニッセイ新興国株式インデックス | 0.182% | 1.02% |
楽天新興国株式インデックス | 0.229% | 0.408% |
※ZAI Onlineのデータを参考
新興国株式インデックスの代表的なインデックスには大きく2つあり、韓国を投資対象とする「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」と韓国を投資対象としない「FTSEエマージング・インデックス」をベンチマークにするものがあります。
上記の表のうち「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」に連動するのは、eMAXIS Slim新興国株式インデックス、ニッセイ新興国株式インデックスで、「FTSEエマージング・インデックス」に連動するのはSBI新興国株式インデックス、楽天新興国株式インデックスです。
米国ETFで両者のパフォーマンスを比較してみます。
MSCIエマージングはEEM(青)、FTSEエマージングはVWO(緑)を用いました。
両者を比較すると切り取る期間によって若干の違いはありますが、好みの問題であると言えます。
あとは問題になる手数料ですが、eMAXIS Slim新興国株式インデックスは業界最安手数料を目指しているだけあって実質手数料では最安となっています。
✅関連記事;長期間の積立投資では、手数料のわずかな違いが生涯収益に大きく影響する
新興国市場をどの程度ポートフォリオに入れるか
大きな成長期待がある新興国市場ですが、先進国株式に比べると変動率が大きく、実際に大切な資金を投入するには慎重にならざるを得ません。
ではどれぐらいの比率をポートフォリオに入れるかが問題になりますが、一つの目安として現在の全世界の時価総額に占める新興国市場の比率が挙げられます。
2019年7月時点では以下のように12.6%(韓国含む)が新興国の株式時価総額の割合です。
この結果から10%〜20%ぐらいを上限にポートフォリオに組み込むと新興国市場の高成長の恩恵を受けられると思います。

今後数年でこの比率も変わってくるはずなので、引き続き新興国市場には注目しておきたいですね。
基準価額・投資銘柄・投資対象国・組入れ通貨の解説
基準価額・純資産総額の推移
基準価額と純資産総額の推移のグラフを掲載します。
※引用;楽天証券HP
純資産総額は246.69億円(2019年12月時点)で、ファンドが設定された2017/7から順調に右肩あたりとなっています。
基準価額は設定された時から10%ほど上昇していますが、新興国の株式なので今後も激しくアップダウンするものと思われます。
10年〜20年の長期で見れば、新興国の成長に合わせて大きく上昇する可能性があるファンドでもあります。
他のファンドとの比較は以下の記事を参考にしてください。

投資銘柄
eMAXIS Slim新興国株式インデックスが投資する銘柄のTOP10を掲載します。
銘柄 | 国 | 業種 | 割合 |
テンセント | 中国 | メディア | 5.0% |
アリババグループ | 中国 | IT | 4.4% |
TSMC | 台湾 | 半導体 | 3.8% |
サムスン電子 | 韓国 | テクノロジー | 3.3% |
ナスパーズ | 南アフリカ | IT | 2.0% |
中国建設銀行 | 中国 | 銀行 | 1.5% |
ピンアン保険 | 中国 | 保険 | 1.1% |
チャイナモバイル | 中国 | 携帯 | 1.0% |
RIL | インド | エネルギー | 1.0% |
中国工商銀行 | 中国 | 銀行 | 0.9% |
※2019年7月時点
eMAXIS Slim新興国株式インデックスはテンセント、アリババグループなどまだまだ伸び盛りの企業が上位を占めています。
上位10社のうち6社が中国の企業なので、中国の勢いの強さを感じます。
新興国は成長率が高いため時価総額の上位企業は今後激しく入れ替わることが予想されます。
このファンドは時価総額に合わせて自動で組み入れ銘柄を入れ替えてくれるので、銘柄選定などが不要で長期投資家としてはありがたい形式のファンドです。
✅関連記事;時価総額加重平均指数のメリットは、世の中の時勢に合わせて自動で銘柄を組み替えてくれるところ
投資対象国
続いてeMAXIS Slim新興国株式インデックスの投資対象国です。
投資対象国 | 割合 |
中国 | 33.0% |
韓国 | 13.0% |
台湾 | 11.3% |
インド | 9.2% |
ブラジル | 7.2% |
南アフリカ | 5.9% |
ロシア | 3.8% |
メキシコ | 2.7% |
タイ | 2.3% |
その他 | 11.6% |
※2019年7月時点
新興国の中でも中国が33%と一番割合が大きくなっています。
それ以下は比較的均等にばらけているイメージですね。
これまでは先進国が大きく経済成長を果たしてきましたが、これからは中国・インドを中心とするアジア圏の新興国が大きく成長することが予測されています。
日本経済研究センターが公表している2060年までのGDP予測を掲載します。
※引用 日本経済研究センター
アメリカが今後も成長していくのもすごいことですが、それ以上に中国・インドの成長率は素晴らしいです。
組入れ通貨
続いてeMAXIS Slim新興国株式インデックスが投資する通貨別の割合です。
通貨 | 割合 |
香港ドル | 22.90% |
アメリカドル | 15.60% |
韓国ウォン | 12.40% |
ニュー台湾ドル | 11.30% |
インドルピー | 8.80% |
ブラジルレアル | 6.90% |
南アフリカランド | 6.00% |
メキシコペソ | 2.70% |
タイバーツ | 2.30% |
インドネシアルピア | 2.10% |
※2019年7月時点
アメリカドル以外は新興国の通貨なので、名前だけ見ると世界経済が悪くなると大きく下落しそうな通貨が並んでいます。
日本円で投資するファンドですが、為替ヘッジを行わないので実際にはこれらの通貨の変動の影響を受けます。

下落するときは株価の下落と通貨の下落のダブルパンチになることが大いに想像できますね。
まとめ
eMAXIS Slim新興国株式インデックスについてまとめました。
このファンドの魅力は何と言っても、格安手数料で新興国株式に手軽に分散投資ができるという点です。
全世界株式にまとめて一括投資ではなく個別に新興国への投資比率を決めたいという方にはオススメのファンドです。
業界最安を目指しているeMAXIS Slimシリーズなので、この先もコストを気にせず長期で投資ができる優良なファンドだと考えています。
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