
AT&Tの株価・配当金について知りたいなぁ。
投資をするのに参考になるデータは?
こんなお悩みにお答えします。
☑️本記事の内容
- AT&Tはアメリカの2大通信会社の一つ
- 2010年以降のS&P500との成績比較
- AT&Tの業績・配当・キャッシュフローの推移
☑️本記事の執筆者

投資歴15年超のサラリーマン投資家です。
私のブログでは投資初心者・中級者の方々に向けて基礎知識を短期間で身に付けられるよう分かりやすくまとめてます。ぜひご覧ください!
米国高配当株の人気銘柄の一つであるAT&T(T)について分析を行います。
会社の基本情報から配当込みでS&P500との比較、利益や配当金の推移等をまとめます。
AT&Tってどんな会社?
社名 | AT&T |
ティッカー | T |
設立年 | 1983年 |
セクター | コミュニケーション・サービス |
従業員数 | 254,000人 |
連続増配年 | – |
決算月 | 12月 |
PER | 12.7 |
直近配当利回り | 7.1% |
AT&T(T)は電話を発明したグラハム・ベルが1876年に設立した電話会社が前身です。
1974年にアメリカとカナダの電話事業を独占していたことから反トラスト法(独占禁止法)で訴訟を起こされ、1984年に各地域会社に分割されました。
その後2005年に子会社であったSBCコミュニケーションズに買収され、名前が残され今のAT&Tとなりました。
現在はアメリカの2大通信業社の一つで、ワイヤレス(無線)通信業界において、米国でベライゾンと合わせて70%ほどのシェアを持っています。
日本でいうとdocomoが該当します。
またT-MobileとSprintが合併するという話もあるので、今後力関係が変わってくるかもしれません。
またAT&Tは36年間という長期にわたり4半期ごとに配当金額を大きくする増配企業でしたが、2021年に入り増配を打ち切ったことは衝撃的です。
地域別売上比率
売上高は91%がアメリカで、その他はメキシコや南アメリカで9%のシェアを持っています。
セグメント別売上比率
現在の事業収益としては大きく2つに分けられます。
- 通信
- ワーナーメディア
この中でもいちばんの主力事業としてはやはり通信部門です。
通信部門
通信部門の収益は全体の84%を占めており、アメリカ国内での携帯電話事業、衛星放送サービスなどのエンターテイメント事業、ビジネス向け事業の3つで構成されています。
しかし衛星放送サービスはNetFlixなどの安くて使いやすいサービスの台頭により減収となり、ビジネス事業も固定電話など従来のサービスの減収が止まらない状況です。
頼みの携帯電話事業も現在ネットワークのエリア普及率90%以上、スマホ保有率は100%を超えているという状況の中、これ以上の増収が難しく新規事業への開拓が求められている状況でした。
そこで2018年に行なったのが総合メディア・エンターテイメント企業のタイム・ワーナーの約850億ドル(約9兆円)という巨額買収です。
ワーナーメディア
ワーナーメディアは、映画事業などを展開するワーナーブラザーズ、ニュースメディアのCNN、有料ケーブルテレビ局のHBOなどのコンテンツで知られています。
このワーナーメディアがすでに収益の11%を占めており、今後の成長エンジンとしてこれらのコンテンツビジネスに力を入れようとしています。
が、2021年5月にワーナーメディアの分社化を発表しました。
NetflixやAmazonのストリーミングサービスには勝てなかったということですね。
株価の推移とS&P500との利益比較
AT&TとS&P500との比較
2010年10月〜2020年12月までのAT&TとS&P500に連動するETFであるVOOの株価を比較します。
青線がAT&Tで緑線がVOO(S&P500)です。
10年間の株価上昇率をまとめると以下の通りです。
項目 | T | VOO(S&P500) |
株価上昇率 | 0.56% | 227% |
株価の推移を比較するとVOO(S&P500)の方が圧倒的な成績です。
AT&Tのほうはなんとここ10年ぐらいは世界的に好調な相場が続いていたにも関わらず、全く上昇していません。
100万円投資したとすると10年間で227万円の差です。
続いてAT&TとVOO(S&P500)の配当込みで比較してみます。
項目 | T | VOO(S&P500) |
配当込み上昇率 | 76% | 303% |
AT&Tの方がVOO(S&P500)より配当金を多くもらえるため、配当込みの上昇率ではVOO(S&P500)にわずかながら近づきましたが、さすがに株価で227%の違いは埋められませんでした。
AT&Tの株価が上昇しなかった理由
AT&Tは1984年の独占禁止法訴訟の結果として解体され、長距離電話会社として出発することになりました。
長距離電話会社としては他に競争相手がいなく独走状態でしたが、2000年代になるとインターネットが急速に普及し、長距離電話は衰退することとなりました。
その時期AT&Tもインターネットの普及を傍観していたわけではありません。
AT&Tは10兆円を超える巨額の資金を投入し、ケーブル会社を買収してアメリカ最大のケーブル網企業となりました。
これにより既存のケーブル網をインターネットに使用し、莫大なインターネット接続料を得られるはずでした。
ところが今度は技術の進歩により無線通信サービスが安価に提供されるようになり、巨額の投資をした目論見は大外れ、事業転換・収益向上が思うようにいきませんでした。
現在は先ほども書いたようにタイムワーナーの買収により、コンテンツビジネスに力を入れ始めており、今後の収益向上が期待されるところです。
業績
売上・当期純利益・利益率の推移
売上は順調に伸びているものの利益率には大きなブレがあります。
また2020年には、衛星放送などプレミアムテレビ事業で155億ドルの評価損を、ワーナーメディア部門でも7.8億ドルの評価損を計上したため、巨額の赤字となりました。
EPS・DPS・配当利回りの推移
36年間順調に増配を続けていた配当金は2021年に終了となりました。
先ほども書いたように配当利回り(税引き後)は株価低迷により5%を超えています。
ところが連続増配企業ではなくなったことから、今後減配により配当利回りが下がってしまう可能性も出てきました。
配当性向・増配率
配当性向は特に高いと言うわけではありません。
2020年にガクンと下がっているのがわかります。
2021年は増配が打ち切られ、どうなるかといったところですね。
キャッシュフロー
営業CFを売上高で割って求める営業CFマージンが概ね20%以上で推移しており、競争優位性が高いことがみてとれます。
事業形態上どうしても設備投資が必要なことからフリーCFが少なくなりがちなのは仕方ないですね。
まとめ
AT&Tについて分析をまとめてみました。
ここ10年の株価を見るとS&P500よりだいぶ見劣りする結果でした。
36年間の連続増配企業というのが投資するにあたっての一つの安心材料でしたが、今後はどうなるかわからなくなってきましたね。
配当がたくさんもらえるからと喜んで投資したい企業ではなくなってきましたね。
歴史ある企業も世の中の移り変わりにはついていけないということでしょうか。
引き続きウォッチしていきます。
私が米国株投資をしている結果は以下の記事を参考にしてください。